9月のEBM勉強会

9月のEBM勉強会

テーマ

「無呼吸症候群を持つ子供たちに急速拡大によって症状の改善が見込めるか否か」

 

近年小児期より無呼吸症候群(OSA)の子どもたちが多く見られます。小児のOSAにより、あえぎ、いびき、無呼吸、夜尿、異常睡眠障害、チアノーゼ、頭痛、注意散漫、多動などの成長阻害が起こると言われています。

今回は、ネットワークメタ分析により様々な治療効果を包括的に比較し、ランク付けする事を目的とした文献を調べました。

Abst

レジュメ

現在成人のOSAはPAPが第一選択となっています。PAPは扁桃摘出術に匹敵する改善をもたらすことが可能です。

小児においてはアデノイドなどのリンパ系の成長は12歳前後まで成長するので摘出が第一選択ではなく投薬治療が多くあります。矯正医は、小児にRME(急速拡大装置)を使用して狭い上顎歯列弓(高口蓋)の正中口蓋縫合を分割し、鼻腔容積を増加させ、鼻抵抗を減少させることのできるRMEを行うことができます。

今回の文献により、RMEは投薬よりSpO2の改善には効果的であり、小児のOSAとしての直接的な治療法にはなり得ないかもしれないが、呼吸や低酸素血症の改善の手助けとなり得ると感じます。

早期に子供達の異変に気づき、患者さんに気づきを与え、歯列不正の改善に留まらず、健康な身体の発育も促すことが出来るような矯正治療を目指していきたいと思います。

麻生キッズデンタルパーク 佐藤

 

 

一般社団法人ジャパンオーラルヘルス学会第1回学術講演会に参加

 

  一般社団法人ジャパンオーラルヘルス学会第1回学術講演会が2020年9月13日に開催され、参加させていただきました。

 

講演内容

講演1:定期管理型予防歯科を実践するために-リスク評価にもとづくう蝕管理- 麻生幸男先生(医療法人社団ワンアンドオンリー麻生歯科クリニック;院長)

講演2:術者磨きのススメ―プロの眼と手で行う術者磨き- 遊佐典子さん(フリーランス歯科衛生士)

 

  まずは当院長の講演でしたが、管理型の予防歯科を考えるにあたって必要なリスク評価の概念、当院において歯科医や歯科衛生士がどのような診療体系で予防を実践しているかについての内容でした。実際に当院で行っているリスク評価方法をもとに、う蝕の成り立ちから予防方法まで様々なエビデンスに基づく知識を再度学ぶ機会となり、日々の臨床を振り返る良いきっかけとなったように感じています。

 

  遊佐先生は術者磨きの効率的手法として、エッセンシャルクリーニング法(EC法)と呼ばれるブラッシング方法とその臨床への応用例を紹介していただきました。EC法による術者磨きに満足された患者さんに、セルフケアへの意欲を出させるという利点も持っているということを学ばせていただきました。日々様々な患者さんを対応するなかで、口腔の健康を維持するために定期来院とともにセルフケアの習慣化の重要性を常に実感しています。そのなかで患者さんの口腔の健康に対する意識を常に保ち、セルフケアのモチベーションを維持するために術者磨きは非常に良い手法ではないかと感じ、日々の診療のなかでも一つの方法として取り入れる必要性を感じました。

 

  今回オンラインという環境で学ばせていただきましたが、日々の臨床で役立てるように復習し、明日からの診療に活かせていけたらと思います。

 

日本アンチエイジング歯科学会 スペシャルワンデイセミナー(web開催)受講


日本アンチエイジング歯科学会主催のスペシャルワンデイセミナー、

「歯科医師が感染症医となる日 2nd stage」を受講しました。

今回はコロナウイルス感染症拡大に伴い、ウェブ開催となりました。

朝から夕方までエネルギッシュな3名の講師の方々の医科歯科連携の話の最前線を聞くことができ、

とても興味深くまた楽しく受講できました。

多くのことに関心・興味を持ち実際に動く姿勢と、

10000歩くらい先を進む先生方のお話は大変刺激になりました。

 

 

【西田亘先生】

保健師の方の2005年の研究では、

歯の数が10本未満で要介護になる確率は、

なんと15倍!

現在、女性の4人に1人が70歳以上であり今後自分も含めて介護が必要となる未来は避けられないものかもしれません。

しかし、口腔ケアでそのリスクを下げることが身近な日本で既にデータとして示されていることを、現在メインテナンスで来院されている患者さんにも伝えていきたいと感じました。

 

 

【天野敦雄先生】

歯周病ではP.g菌の存在がMicrobial siftという細菌の変化を起こしやすくします。

細菌の変化によって人それぞれが持つ細菌叢の安定が乱れると、

悪玉菌が増え歯周病が進行します。

私たちは、“オルコア”というP.g菌検出装置を導入しています。

数値化された検査結果で大変わかりやすく、

歯周病に悩まれている方、インプラントがある方などに特におすすめしています。

天野先生のお話で学んだことを検査時に患者さんにも伝えていきたいと思っています。

プラーク細菌はその代謝物によって協力関係にあり時間と共に病原性を高めるます

「定期管理がシステム化された歯科医院と

プロフェッショナルオーラルケアが望まれる」

 

【長谷川嘉哉先生】

高齢化に伴う問題のひとつに認知症があります。

長谷川先生は様々なお仕事をされている先生で、

認知症専門医で貴重なお話を聞くことができました。

認知症も多因子疾患で36ほどの原因があるとのことでした。

P.g菌がアルツハイマーにも影響があると認められている現在、

認知症の原因のひとつとして歯科が貢献できる部分はあると感じました。

 

糖尿病を知ることが歯科診療に役立つ!? 院内EBM勉強会〜開催編〜

 

8月の院内EBM勉強会のテーマは,「糖尿病と歯周病の関連性」でした.

PubMedで文献を検索し,

「歯周炎・糖尿病患者における歯周治療の効果:システマティックレビューとメタアナリシス」

という論文を選択しました.

従来のシステマティックレビューはHbA1Cの分析に限定されているものがほとんどであったのに対し,

この論文では全身の炎症に関連するものなど糖尿病合併症のリスクを軽減するための他の分析がなされているのがポイントです.

 

目的:歯周炎および2型糖尿病患者において,歯周治療は代謝コントロールを改善し全身の炎症を低下させることができるか?

方法:2型糖尿病患者において,HbA1CおよびCRPに対する歯周治療の効果を評価,452研究のなかからコクランコラボレーションリスク評価ツールを使用して研究の質を評価し,除外後に残った9つのランダム化臨床試験(RCT)を評価した.

統計解析:歯周治療を受けた群(介入群)と受けなかった群(対照群)を比較してHbA1CおよびCRPに対する歯周治療介入の効果を決定した.

結果:SRPはHbA1Cの低減に効果的であった.

 

 

結論:SRPは2型糖尿病患者の代謝制御と全身性炎症の軽減に影響を及ぼすと言える.

 

発表者の考察:口腔内の炎症と全身の炎症が相互に関わりがあり,歯周治療やメインテナンスをはじめとした口腔ケアが全身の健康に寄与できることが示唆されました.

このことからクリニックの患者の,自覚のある高血糖状態を有する者に対して,口腔の健康への動機づけのひとつになり得,自覚のない者に対しては,その口腔の特徴から気づき,生活習慣へのアプローチを行うことがきる.そして必要があれば内科等との連携により,患者を健康に導くことができると考えます.

 

2型糖尿病と歯周病は生活習慣が大きく関わることから,患者には行動変容,医療者にはそのサポートが求められます.

歯周病は糖尿病の第6の合併症であり相互に関連が認められることから,口腔のみならず患者を“全身的な”視点で見ていく必要があり,それを具体的な行動に起こすことで患者の健康に貢献できるものであります.

 

歯科からの目線のみにはなってしまいますが,おそらく双方の疾患や診療について知らないことが多く,それに疑問や問題を感じていない現状があります.しかし,医療者として,予防や重症化予防ができる可能性を少しでも広げていきたいと感じました.一歩ずつ.

糖尿病を知ることが歯科診療に役立つ!? 院内EBM勉強会〜予告編〜

来月の院内EBM勉強会のテーマは,「糖尿病と歯周病の関連性」です.

糖尿病は歯周病とともに有病率の増加が認められ,それぞれが生活に密に関わる疾患であることから,国民のQOLの低下の要因となりうると考えます.

この2つの疾患の関連性については1990年代から様々な研究で示され,現在歯周病は糖尿病の第6の合併症と定義付けられています.

定義づけられた背景をエビデンスに基づき理解することで,来院患者の口腔のみならず全身の健康に寄与できると考えたことがこのテーマを選んだ背景です.

論文を読み解くことだけでなく,皆が糖尿病についての理解を深められたらと考えています.

8月上旬の勉強会後、ご報告の記事を追加投稿予定です!

第38回EBM勉強会 小児における舌圧と顎顔面の関係性について

6月26日に麻生歯科クリニックとASO KIDS DENTAL PARK合同でEBM勉強会を行いました。

今回の論文のテーマは

Relationship between tongue pressure and maxillofacial morphology in Japanese children based on skeletal classification

(日本人の子どもたちの顎骨の分類による舌圧と顎顔面の関係性について)

J Oral Rehabil.2018 Sep;45(9):684-691

 

この論文を選んだ理由は、臨床において口腔機能不全がみられる子どもたちが多く、不正咬合の有無によって審美面だけでなく筋機能面においても発達に違いがあるように感じたからです。

この論文を読み解き、小児における顎骨と舌機能ついて学ぶことにしました。

以下論文の概要となります。

背景

小児期の舌機能は不正咬合と密接に関連している。矯正治療によって舌機能の改善が可能といわれているが、どの程度舌機能が改善したのかを検査する方法が誰もが安全に同じように使用できるものなのかという疑問がある。

小児の顎顔面形態に対する舌機能の影響を明らかにするために、舌圧および口唇閉鎖力を測定し、骨格分類に従って舌機能と顎顔面形態との関係を評価した。また今回使用した検査方法が臨床の場において定量的な評価基準となりうるのか検証した。

 

方法

100人の子供[平均年齢9.1±1.5歳、男児34人(9.30±1.2歳)と女児66人(9.1±1.5歳)]を対象にし、セファログラムを用いて3つのグループに分けた。

舌圧はJMS舌圧測定装置、口唇閉鎖力はLip deCum®LDC-110R、口蓋容積は非接触3次元デジタイザVIVID910を用いて測定した。

 

結果

結論

1)最大舌圧、嚥下舌圧および口唇閉鎖力は、下顎前突グループよりも上顎前突グループで有意に低く、前後の骨格分類による変動を示している。

2)最大舌圧と嚥下舌圧の間に強い正の相関が観察され、機能評価における有用性が示された。

3)嚥下舌圧と口蓋容積の正の相関は、舌圧と舌機能が口蓋形成に影響を与えることを示した。

4)将来的には、この研究から得られた情報を使用して、歯列矯正治療を必要とする子どもの舌機能を評価することを目指す。

 

以上となります。

私達の考察は、矯正治療中の子どもたちの治療前後の評価としての一つの資料になるのではないかと感じました。咬合・歯列の変化に加え、筋機能面においても、どのような変化が生じたのかを合わせて評価することで、矯正治療のメリットとしてさらに臨床の現場で伝えられるのではないかと考えます。

日本経済新聞「AI、歯科医の常識変える」

当院のセレック治療 保存専門医の風間龍之輔先生が

5月28日の日本経済新聞の

「AI、歯科医の常識変える」という記事で掲載されました。

当院の歯科医は風間先生の指導の下、高度なセラミック修復技術を学んで

臨床に活用しています。風間先生の診療日は毎週水曜です。

 

当院HPのセラミック治療のページと合わせて

是非、ご覧ください。

第37回 EBM勉強会

5月15日 麻生歯科クリニックとASO KIDS DENTAL PARK合同でEBM勉強会を行いました。

コロナウイルス感染対策のためZOOMを利用して行いました。

日々臨床において永久歯先天性欠如を有する患者さんに対応することが多いので

今回は永久歯先天性欠如をテーマとした論文を選択しました。

「永久歯先天性欠如の発現様式のメタアナリシス」です。

EBM20200331ブログ

初めてZOOMを使用し勉強会を行いましたが一同に介さなくても情報を共有できるので

コロナウイルス感染対策を取り今後も合同勉強会を続けていきたいと思いました。

第36回 EBM勉強会

 

麻生歯科クリニックとASOKidsDENTALPARK合同で

EBM勉強会を行いました

文献の題名は

Enamel roughness and incidence of caries after interproximal enamel reduction:

a systematic review

(エナメル質の粗さと隣接歯間エナメル質切削後のう蝕の発生率:システマティックレビュー)です。

 

当院では昨年からinvisalignシステムの導入し、患者さんへ提供しています。患者満足も高くとても良い治療方法だと考えますが、一方でエナメル質を一部リスキングすることによるう蝕の増加や進行について懸念されます。そこで今回のEBMはIPR後のう蝕の増加率を研究したシステマティックレビューを選択し検討しました。

 

文献の結果としては、“IPRで処理した歯の表面と対照歯の表面との間でう蝕の発生に統計的な違いは示されなかった”です。しかし、IPR後の“エナメル質の荒さ”に関してまだエビデンスに基づく結論を引き出すことは困難であり、当院での課題も見えました.

 

第24回 米国歯科大学院同窓会(JSAPD)公開セミナー参加 

年始、毎年楽しみにしているJSAPDのセミナーに参加してきました。

今回のテーマは、

Session 1『ミニマムインターベーションの是非を問う』
Session 2『歯周病と全身疾患 ~エビデンスに基づくコンセンサス~』

で、7名の歯科医師の方々が講演されました。
JSAPD、米国歯科大学院同窓会( Japan Society of American-educated Postdoctoral Dentists )は、海外で大学院を卒業した先生方の集まる会で、今後留学を目指す後輩達のためや、日本の歯科医学の発展への貢献を目的としています。
そのためとてもレベルが高く、刺激を受けられるセミナーです。

今回の1つめのテーマは、私たちの診療の考えに近いミニマムインターベーションでした。エンド、インプラント、補綴に関してそれぞれの専門分野の先生からご講演いただきました。
2つめは昨今話題の、歯周病と全身疾患がテーマで、歯周病の新分類の話、糖尿病・動脈硬化・その他歯周疾患と関連のあるもの、喫煙など盛りだくさんの内容で、私たちが日々の臨床で何となく感じていることや疑問点を最新の文献を用いて説いてくださいました。
多くの文献を理解するのには少し時間がかかりそうですが、最新の確かな知識を理解し診療に還元していきたいと思います。