第45回EBM勉強会を開催しました!

3月のEBM勉強会で扱ったテーマは『遺伝は過剰歯の病因の1つである可能性がある』です。

 

麻生キッズデンタルパークで診療を行っていると、兄弟間で過剰歯のある患者が多いようにと感じました。

そこで過剰歯の発生に遺伝は関係しているのか調べるために論文を検索しました。

 

アブストはこちらです↓

ここをクリックすると論文が確認できます。

š過剰歯があると口腔機能の発達にも影響が出る可能性があるという結果が分かりました。

今までは患者に過剰歯が見付かってから保護者にもあるのか確認していましたが、問診時に確認すれば早期発見に繋がるのではと感じました。

š遺伝の可能性を伝えることで、患者や保護者に精神的な余裕を与えることができて、医院への信頼感に繋がるのではないかと感じました。

ただ今回扱った論文は症例対象研究だったため信憑性にかけるので、今後他の論文の結果等詳しく調べて生きたいと思います。

 

 

麻生キッズデンタルパーク:萩原

1月のEBM勉強会 

テーマ

「成長発育が終了した患者における矯正治療後の後戻り変化について」

 

麻生キッズデンタルパークでは、顎顔面矯正治療を行う患者が年々増えてきました。

一方で、マルチブラケット矯正治療のみを行う患者もいる中で、

二つの矯正治療において、治療方法の違いにより

後戻りに違いはあるのかと疑問に思い、今回検討しました。

 

アブスト↓

https://doi.org/10.2504/kds.53.657

 

後戻りを防ぐためには、治療後の保定が重要であり、

矯正治療後も長期的なサポートが必要であると学びました。

今回の文献を通して、矯正治療後の保定装置の使用の有無や保定期間の違いにより、

後戻りに差があるのかという新たな疑問も見つかったので調べてみたいと思いました。

麻生キッズデンタルパーク 鈴木

12月のEBM勉強会 ワイヤー矯正とアライナー矯正の歯根吸収の差

テーマ:『ワイヤー矯正とアライナー矯正では歯根吸収の差があるのか』

当院ではアライナー矯正に力をいれています。

スタッフ間での知識向上させ、患者さんにより分かりやすく説明ができるようにリスクのひとつである歯根吸収について理解を深める為、以下の論文を選択しました。

 

Orthodontic aligners and root resorption:A systematic review

Gouttieres orthodontiques et resorptionradiculaire : revue systematique

Rajae ELHADDAOUI*, Halima Saadia QORAICH, Loubna BAHIJE, Fatima ZAOUI

Service d’orthopedie dento-faciale, faculte de medecine dentaire, Mohammed V University,

avenue Allal el Fassi, rue Mohammed Jazouli, cite Al Irfane, BP 6212, Rabat, Morocco

Available online: 26 January 2017 / Disponible en ligne : 26 janvier 2017

 

3つの研究が取り上げられています。

1.アライナーを使用した治療後の根吸収率と重症度の評価

2.重い力(225g)と軽い力(25g)を使用して抜歯した臼歯の根吸収の発生率と比較

3.固定器具とアライナーを使用した根吸収の発生率と重症度の比較

 

 

結論としては、アライナーが矯正治療後に根の吸収を引き起こす可能性があることを示した。

ただし、吸収率の発生と重症度は固定器具での矯正で報告された結果と比較して低くなっている。

とのことでした。

 

この内容を踏まえ、日々の診療で説明の中にうまく取り込めたらよいと思いました。

まだまだ、知識不足な部分もありますので、EBMを通して今後も診療に役立つ情報を皆で共有していくことの重要性を改めて感じました。

麻生歯科クリニック 歯科衛生士:杉山

11月のEBM勉強会 セラミックの寿命は?

テーマ : 『セラミック修復の予後、再治療の原因を論文から把握する』

セラミック治療は銀歯に比べ歯によく接着し、劣化が少ないことから歯が長持ちすることは知られています。今回はPdmedよりシステマチックレビューを検索し下記の論文を見ていきました。

Survival Rate of Resin and Ceramic Inlays, Onlays, and Overlays:A Systematic Review and Meta-analysis

S. Morimoto1, F.B.W. Rebello de Sampaio2, M.M. Braga3, N. Sesma4, and M. Özcan5

Journal of Dental Research 2016, Vol. 95(9) 985‒994

論文をまとめると

セラミックの生存率は、

5年で92%から95%(n = 5,811回の修復)
10年で91%(n = 2,154回の修復)

失敗の種類は、

破折/欠け(4%)
歯内合併症(3%)
二次齲蝕(1%)
剥離(1%)
重度の辺縁染色(0%)

セラミックは10年生存率が91%と高い生存率を示していました。セラミックはよく持つということがわかります。

ただセラミックも人工物であるので数パーセントは割れてしまったりでやり直しになることがあります。特に歯ぎしりや噛む力が異常に強い方に多いです。私の臨床経験ですが、稀に割れてしまったり、取れてしまったりすることがありますが、中で大きくむし歯になってしまっている歯はほとんどありません。

麻生歯科クリニック  藤本

糖尿病を知ることが歯科診療に役立つ!? 院内EBM勉強会〜開催編〜

 

8月の院内EBM勉強会のテーマは,「糖尿病と歯周病の関連性」でした.

PubMedで文献を検索し,

「歯周炎・糖尿病患者における歯周治療の効果:システマティックレビューとメタアナリシス」

という論文を選択しました.

従来のシステマティックレビューはHbA1Cの分析に限定されているものがほとんどであったのに対し,

この論文では全身の炎症に関連するものなど糖尿病合併症のリスクを軽減するための他の分析がなされているのがポイントです.

 

目的:歯周炎および2型糖尿病患者において,歯周治療は代謝コントロールを改善し全身の炎症を低下させることができるか?

方法:2型糖尿病患者において,HbA1CおよびCRPに対する歯周治療の効果を評価,452研究のなかからコクランコラボレーションリスク評価ツールを使用して研究の質を評価し,除外後に残った9つのランダム化臨床試験(RCT)を評価した.

統計解析:歯周治療を受けた群(介入群)と受けなかった群(対照群)を比較してHbA1CおよびCRPに対する歯周治療介入の効果を決定した.

結果:SRPはHbA1Cの低減に効果的であった.

 

 

結論:SRPは2型糖尿病患者の代謝制御と全身性炎症の軽減に影響を及ぼすと言える.

 

発表者の考察:口腔内の炎症と全身の炎症が相互に関わりがあり,歯周治療やメインテナンスをはじめとした口腔ケアが全身の健康に寄与できることが示唆されました.

このことからクリニックの患者の,自覚のある高血糖状態を有する者に対して,口腔の健康への動機づけのひとつになり得,自覚のない者に対しては,その口腔の特徴から気づき,生活習慣へのアプローチを行うことがきる.そして必要があれば内科等との連携により,患者を健康に導くことができると考えます.

 

2型糖尿病と歯周病は生活習慣が大きく関わることから,患者には行動変容,医療者にはそのサポートが求められます.

歯周病は糖尿病の第6の合併症であり相互に関連が認められることから,口腔のみならず患者を“全身的な”視点で見ていく必要があり,それを具体的な行動に起こすことで患者の健康に貢献できるものであります.

 

歯科からの目線のみにはなってしまいますが,おそらく双方の疾患や診療について知らないことが多く,それに疑問や問題を感じていない現状があります.しかし,医療者として,予防や重症化予防ができる可能性を少しでも広げていきたいと感じました.一歩ずつ.

糖尿病を知ることが歯科診療に役立つ!? 院内EBM勉強会〜予告編〜

来月の院内EBM勉強会のテーマは,「糖尿病と歯周病の関連性」です.

糖尿病は歯周病とともに有病率の増加が認められ,それぞれが生活に密に関わる疾患であることから,国民のQOLの低下の要因となりうると考えます.

この2つの疾患の関連性については1990年代から様々な研究で示され,現在歯周病は糖尿病の第6の合併症と定義付けられています.

定義づけられた背景をエビデンスに基づき理解することで,来院患者の口腔のみならず全身の健康に寄与できると考えたことがこのテーマを選んだ背景です.

論文を読み解くことだけでなく,皆が糖尿病についての理解を深められたらと考えています.

8月上旬の勉強会後、ご報告の記事を追加投稿予定です!

第38回EBM勉強会 小児における舌圧と顎顔面の関係性について

6月26日に麻生歯科クリニックとASO KIDS DENTAL PARK合同でEBM勉強会を行いました。

今回の論文のテーマは

Relationship between tongue pressure and maxillofacial morphology in Japanese children based on skeletal classification

(日本人の子どもたちの顎骨の分類による舌圧と顎顔面の関係性について)

J Oral Rehabil.2018 Sep;45(9):684-691

 

この論文を選んだ理由は、臨床において口腔機能不全がみられる子どもたちが多く、不正咬合の有無によって審美面だけでなく筋機能面においても発達に違いがあるように感じたからです。

この論文を読み解き、小児における顎骨と舌機能ついて学ぶことにしました。

以下論文の概要となります。

背景

小児期の舌機能は不正咬合と密接に関連している。矯正治療によって舌機能の改善が可能といわれているが、どの程度舌機能が改善したのかを検査する方法が誰もが安全に同じように使用できるものなのかという疑問がある。

小児の顎顔面形態に対する舌機能の影響を明らかにするために、舌圧および口唇閉鎖力を測定し、骨格分類に従って舌機能と顎顔面形態との関係を評価した。また今回使用した検査方法が臨床の場において定量的な評価基準となりうるのか検証した。

 

方法

100人の子供[平均年齢9.1±1.5歳、男児34人(9.30±1.2歳)と女児66人(9.1±1.5歳)]を対象にし、セファログラムを用いて3つのグループに分けた。

舌圧はJMS舌圧測定装置、口唇閉鎖力はLip deCum®LDC-110R、口蓋容積は非接触3次元デジタイザVIVID910を用いて測定した。

 

結果

結論

1)最大舌圧、嚥下舌圧および口唇閉鎖力は、下顎前突グループよりも上顎前突グループで有意に低く、前後の骨格分類による変動を示している。

2)最大舌圧と嚥下舌圧の間に強い正の相関が観察され、機能評価における有用性が示された。

3)嚥下舌圧と口蓋容積の正の相関は、舌圧と舌機能が口蓋形成に影響を与えることを示した。

4)将来的には、この研究から得られた情報を使用して、歯列矯正治療を必要とする子どもの舌機能を評価することを目指す。

 

以上となります。

私達の考察は、矯正治療中の子どもたちの治療前後の評価としての一つの資料になるのではないかと感じました。咬合・歯列の変化に加え、筋機能面においても、どのような変化が生じたのかを合わせて評価することで、矯正治療のメリットとしてさらに臨床の現場で伝えられるのではないかと考えます。

第37回 EBM勉強会

5月15日 麻生歯科クリニックとASO KIDS DENTAL PARK合同でEBM勉強会を行いました。

コロナウイルス感染対策のためZOOMを利用して行いました。

日々臨床において永久歯先天性欠如を有する患者さんに対応することが多いので

今回は永久歯先天性欠如をテーマとした論文を選択しました。

「永久歯先天性欠如の発現様式のメタアナリシス」です。

EBM20200331ブログ

初めてZOOMを使用し勉強会を行いましたが一同に介さなくても情報を共有できるので

コロナウイルス感染対策を取り今後も合同勉強会を続けていきたいと思いました。

第36回 EBM勉強会

 

麻生歯科クリニックとASOKidsDENTALPARK合同で

EBM勉強会を行いました

文献の題名は

Enamel roughness and incidence of caries after interproximal enamel reduction:

a systematic review

(エナメル質の粗さと隣接歯間エナメル質切削後のう蝕の発生率:システマティックレビュー)です。

 

当院では昨年からinvisalignシステムの導入し、患者さんへ提供しています。患者満足も高くとても良い治療方法だと考えますが、一方でエナメル質を一部リスキングすることによるう蝕の増加や進行について懸念されます。そこで今回のEBMはIPR後のう蝕の増加率を研究したシステマティックレビューを選択し検討しました。

 

文献の結果としては、“IPRで処理した歯の表面と対照歯の表面との間でう蝕の発生に統計的な違いは示されなかった”です。しかし、IPR後の“エナメル質の荒さ”に関してまだエビデンスに基づく結論を引き出すことは困難であり、当院での課題も見えました.

 

第35回 EBM勉強会

最近、当院において象牙質知覚過敏症に対する使用薬剤としてグルーマ、ティースメイトを相次いで導入しました。

そこで馴染みのないレジン系DH抑制剤であるグルーマの臨床的効果について調べてみることにしました。

 

 

テーマ「象牙質知覚過敏症における使用薬剤の効果について」  

 

今回引用した論文

Clinical efficacy of resin-based materials for dentin hypersensitivity treatment

Am J Dent 2017; 30(4): 201-204

 

レジン系材料の象牙質知覚過敏症(DH)治療における臨床的効果

 

(目的) 

レジン系DH抑制材の実際の患者への効果を、二重盲検法を用いて6ヶ月後まで診断して評価することで、安全かつ有効な治療法としてレジン系材料を用いることが可能であるかを検討した.

 

(方法) 

DHを訴える30名の成人患者が二重盲検法による臨床試験に参加した.DHの診断は2秒間の圧搾空気による刺激を用いて行った.

DHの痛みの評価はVAS法を用いて判断した(0:痛みなし,10:激痛).30名の成人患者の179歯に対して,コンピューター制御ランダム表に基づき3種のDH抑制材の1つを無作為に塗布した.

DH抑制材としてはクリンプロXTバーニッシュ(3M:CV),クリアフィルSEプロテクト(クラレノリタケデンタル:CP)、グルマ2ボンド(ヘレウスクルツァー:GB)の3種を用いた.

DHの痛みはVASスコアを用いて、術前、術直後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後に判定した.

 

(結果) 

DH抑制材の治療効果は、CV、CPおよび、GBとも術直後にVASスコアが優位に劇的に減少したが、1、3、6ヶ月間では治療効果に有意差はなかった.

また3種の製品間でも有意差は認められなかった

 

(考察)

 

今回の臨床研究の結果から,レジン系DH抑制材の塗布はきわめて有力な治療法であることが明らかとなった.

臨床実感と異なる結果であったが,今後使用時には確実な防湿をし,長期予後に期待したい.

ただしレジン系DH抑制材はレジン修復を阻害するので適応には症例を選択する必要がある.