静岡県立総合病院 歯科口腔外科との診療連携 

毎月近隣の有志の開業医の先生方を交えて静岡県立総合病院 歯科口腔外科との診療連携勉強会の機会を設けています。そこでは口腔外科の先生方の症例発表、臨床症例の検討や相談、有益な論文提示やお互いの紹介患者さんについて報告し情報を共有しています。

 

 

 

 

先日行われた会合では
1.右上1相当部に開放性の骨欠損があり、同部に骨造成を伴ったインプラント埋入を口腔外科に依頼された症例の経過報告

 

 

2.下顎埋伏智歯抜歯時の動脈性出血における止血対応法の相談

 

 

 

3.薬物過敏症を有する患者さんの観血的処置についての留意点の相談

 

 

 

の3点について口腔外科の先生方や参加されている先生方からの意見交換が活発に行われました。

高次医療機関との連携はどの医院でも行われていますが、このように定期的に顔を合わせることで専門家からの貴重なご意見を頂くことができます。紹介患者さんについてはお互いが診療情報提供書にはない細やかな情報を得ることができますので我々はもとより患者さんにとっても有意義なものとなっています。

 

 

 

CAMBRA Clinical Review  

CAMBRA ケースレポート 小児 

 

【ハイリスクを管理する】

初診時年齢:2歳 男児

主訴:1歳6ヶ月児検診で虫歯があると指摘を受けた

口腔内の状態:上顎前歯部、両側D咬合面に活動性のう蝕あり 

清掃状態:上顎プラークコントロール不良

リスク評価》

疾患因子:目視可能なう蝕、エナメル質の脱灰、

     歯面上のホワイトスポット

     う蝕の経験 

スク因子:哺乳瓶で飲みながら寝かせる

      /欲しがったら与える

      日に3回以上の間食

      保護者の健康管理に関する知識が不十分

防御因子:無し

《リスクレベル》

 ハイリスク

《予防計画》

・フッ化物の応用 家庭で年齢に合わせたフッ化物を使用する

・食生活の改善 飲食回数の見直し 寝かしつけでの授乳をやめる

・プラークコントロールの改善 

※上顎前歯部 上顎両側D咬合面はサフォライド塗布

 

現在の状態

現在の年齢:5歳 幼稚園通園中

《リスク評価》

疾患因子:う蝕の経験

リスク因子:無し

防御因子:日に1回以上のフッ化物配合歯磨剤の利用

     日に2回以上のフッ化物配合歯磨剤の利用

     過去6ヶ月以内のフッ化物歯面塗布

《リスクレベル》

 ハイリスク

▪️口腔内写真(2歳から5歳)

※2歳サフォライド塗布後

※3歳シーラント処置後

※現在(5歳)

▪️レントゲン写真(3歳から5歳)

※3歳

※現在(5歳)

CAMBRAのリスク評価に基づいて、口腔内のう蝕リスクを管理した結果、この患者さんは初診から約4年間新たな疾患は発症していません。

ハイリスクの患者でも、リスク因子を減らし、防御因子を増やせば、新たな疾患の発症を防ぐことはできます。

そのためにはCRAフォームを用いて保護者への説明を行い、保護者自身の行動変容を促すことも重要であると考えています。

 

第2回 糖尿病療養指導士講習会に参加してきました

糖尿病療養指導士講習会に出席してきました。
今回の講師は内科医の方、薬剤師の方、理学療法士の方で

講義内容は薬物療法と運動療法でした。

糖尿病は古来より人間を悩ませる病気だったということや、

1921年にインスリンが発見されるまでは絶食療法が行われることがあったり、衰弱していくのに手の施しようがなくただ見守ることしかできなかったりした時代があったことを知りました。

現代では糖尿病の基本治療と療養指導として、

薬物療法・運動療法・食事療法という3つの柱が掲げられています。

私たちも患者さんから受け取るお薬手帳からどんな服薬があるのか、かかりつけ医や薬局など、口腔以外の部分にも関わることがあります。
薬剤に関しては知識が少なく、今回の講習会で初めて知ることも多くありました。
経口血糖降下剤には、
・インスリン抵抗性改善系
・インスリン分泌促進系
・糖吸収、排泄調整系
があり、それぞれの薬剤の作用機序と起こりうるリスクに関してきちんと理解しておく必要があると感じました。

運動療法はその人に合わせた目標やプラン立案など、歯科における療養指導と共通する部分がありました。

高齢糖尿病患者さんも増えていると聞きます。
知識を多く持ち、口腔だけではなく患者さん“その人”をサポートできる歯科衛生士を目指します。

小児の歯列矯正について ②

ASO KIDS 矯正チーム佐川です。

顎顔面矯正は10歳までの上顎骨の成長段階をあえて利用した矯正治療です。

歯牙にセメントで固定する装置なので、歯型取りはkidsっ子の頑張るハードル高い第1段階。

嘔吐してしまう子や涙がツーとでてきてしまう子

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「最後は出来たで終わろうね。」と言うと、いつのまにやら、面白いねとの返事になっていて

また頑張るよとの言葉。

kidsっ子の力は無限大だと、感じます。

最後に取った歯型がどうなるのかを知りたくて、一緒に石膏つぎ体験中。(╹◡╹

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将来、歯科医師、衛生士、技工士になってくれると嬉しいなっ。

小児の歯列矯正 について①

 

ASO KIDS 歯科矯正チーム佐川です。

下は6歳から10歳までを顎顔面矯正のゴールデンエイジと呼ばれているのをご存知ですか?

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歯牙交換期が終わってからですと、抜歯をしたりディスキング(歯と歯の間を意図的にあえて削る)など、顎の大きさに対して歯で帳尻を合わせなくてはいけません。

ですが、ゴールデンエイジと呼ばれる6歳から10歳であるならば、頭蓋骨が成長したり、上アゴ下アゴの成長を促す事ができ抜歯をせずアゴの成長過程を利用して、矯正をすることができるのです。

急速拡大固定装置(ハイラックスやファンタイプ)を使用して口蓋アゴの土台を広げてしまう方法です。

6歳前後のkidsに通院する子供が普通に歯型取りをしてしまうんです。

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かれこれ、200名近くのASOkidsがこの顎顔面矯正で矯正中です。

ただ矯正装置を入れるだけではなく、自宅での地道なトレーニングも必要となるこの矯正。

親子、矯正チーム、予防チームも巻き込んだ皆が主体的になる顎顔面矯正です。

自宅でのがんばりカード下記。

毎日自分で記入したり計画を立てます。(^^)

新横浜にて「歯をまもる歯みがきの話」をしてきました、第2回 

新横浜にて、主に一般の方を対象とした歯みがきの話をしてきました。
今回は第2回目となります。

ご自身の天然の歯にかなうものはありません。
一度治療で削った歯は、二次的に問題が起こりやすいことは周知の事実です。たとえば、小さな詰め物(レジンやインレー)がかぶせもの(クラウン)になり、つなげてかぶせる(ブリッジ)ようになったり入れ歯やインプラントになったりするという一般的な道筋があります。
もちろん必要な治療もあるのでそこには最善の処置を行いますが、

治療が必要にならない環境をつくるサポートが私たちの一番大切な仕事だと思っています。
なぜ歯みがきをする必要があるのか、ツール選択の基準、実際のブラッシング方法体感という流れで進めていくと、「もっと早く知りたかった」と言っていただける方が多くいらっしゃいます。


懸念すべきは、生活者の皆さんが自己流のツール選択と使用をしていることが多いことです。適したブラッシングは人によって異なります。

大切な歯をまもる方法に専門家のアドバイスを活用してもらう機会が、まだまだ足りない!と感じました。

中学生の歯科受診の勧め


先日、中学生になった息子のメンテナンスを久々に担当した際、息子の口腔内の変化に危機感を感じました。

永久歯列は中学生の間に完成しますが、萌出直後の永久歯は未熟で成熟する23年の間は非常に虫歯になりやすくなります。

しかし、子どもたちは小学校を卒業すると急に親の手を離れ、仕上げ磨きも卒業し、勉強や部活動など新しい生活で生活習慣が不規則になり、より虫歯の危険を高めていきます。その為、中学生の時期の歯科受診はとても重要です。それを怠ってしまい、小学生まで大事に守ってきた歯が、虫歯になるケースが少なくありません。

小中学校などでは毎年歯科検診が行われていますが、「学校歯科治療調査」によると、要歯科受診と診断された子どものうち歯科未受診は、小学校が52.1%、中学校が66.6%、高校が84.1%、特別支援学校が55.8%で、いずれも過半数を占めるという結果が出ています。また、むし歯が10本以上ある、歯の根しか残っていないような未処置歯が何本もあるなど、咀嚼が困難な「口腔崩壊」の子どもがいる小学校は4割という状況です。

メンテナンスだけでなく、歯科治療さえも受けていないお子さんがこれだけ多いのです。

その背景には両親の多忙や口腔ケアへの理解の低さ、子ども自身も習い事などで通院時間がない事が考えられますが、短縮日課や長期休みを利用し、ぜひ受診していただきたいと思います。

 

麻生歯科では、小児歯科の麻生キッズデンタルパークと連携を取り、永久歯が生え揃う小学校高学年〜中学生の患者さんの転院受け入れをしています。麻生キッズデンタルパークに通われたお子さんであれば、通院中の情報は担当衛生士により引き継ぎを行います。 乳幼児期から通院されたお子さんが、安心して何十年とメンテナンスに通えるよう、医療体制を整えています。

また、麻生歯科ではCAMBRA(キャンブラ)と呼ばれる、米国式のむし歯のリスク(=危険性)を評価して歯を予防で守る実績のあるシステムを導入しています。

永久歯が生え揃う時期にこそ、リスク評価を行い、虫歯予防をしていきましょう。麻生歯科へご家族皆さんでの来院をお待ちしております。

訪問診療において大事な事

7月19日 知的障害者施設に訪問診療に行ってきました。本院では、訪問診療の形でこうした施設内の成人の方のお口の中のメンテナンスをしています。

訪問診療で一番大事なのは施設職員の方々のお力(ご協力)です。私たちは患者さんたちと普段から生活を共にしている訳ではないので、訪問時に患者さんのお口の中の状態を診てその状態を職員の方々に伝えたり、クリーニングをしたりして、みなさんの口腔管理のお手伝いをすることしかできません。その後の日々の事は、施設職員の方にお任せすることになります。

このような医療の中では、私たちは診療技術はもちろん、人に伝える力、コミュニケーション能力もあわせて身につけなければいけないな、と常に感じさせていただいていると同時に、訪問診療では、色々な人々との出会いのある楽しい時間を過ごさせてもらっています。

 

シンプル歯周治療セミナーを受講して

 

今回、7/20,21の2日間でエルバ主催のシンプル歯周治療セミナーに参加してきました。

日本の歯周治療の先駆者である岡本 浩先生、竹内 泰子先生から学べた大変有意義なセミナーでした。
麻生歯科クリニックでは、全員が受ける講習の一つになっていて、
皆、歯周病学の基礎を学んでいます。

 

まずは今まで学んできた内容を一旦横に置いて、まっさらな状態で講義に臨みました。

1日目は歯牙の発生学や組織学など基礎となる知識から学び、歯周病の本質を理解することができました。生物学の基礎知識をつけることで、正しい治療方法を選択することができ、自信を持って患者さんに知識の提供、治療方法の提案ができると思いました。

2日目は臨床における歯周病への具体的なアプローチやプロトコールを教えていただきました。必要以上のスケーリングやSRPによってセメント質が簡単に破壊されてしまうことを知り、歯科衛生士として大きな責任を感じました。治療における歯牙や歯周組織への侵襲を最小限にし、出血のない健康な歯肉へ導くことが最も重要であると再認識しました。

参加者の多くは、私たちと同じ1年目や2年目の歯科衛生士の方々でした。さまざまな例え話を用いてくださったり、具体的な臨床例をあげてくださったりすることで臨床経験が浅く、知識が十分ではなくても非常にわかりやすくご講義頂き、とても楽しく充実した講義を受けることができました。

私はこの2日間の講義を受けて今まで意識しきれていなかった、歯周組織の生物学的な基礎知識をより深めることができ、日々の教育やカンファレンスで教えて頂いた知識を臨床に繋げることができました。当院の歯周治療の考え方や実践の背景のルーツはここにありました。
また、なぜ知っておく必要があるのか、得られたものを患者さんにどのように還元できるのかをより深く理解することができました。

予防歯科臨床セミナー2DAYS D.LAND前田歯科医院

東京都足立区よりD.LAND前田歯科医院の皆様が2日間の予防歯科臨床見学セミナーで麻生歯科クリニック、麻生キッズデンタルパークにお越しになりました。

 

D.LAND前田歯科医院様は知名度抜群の歯科医院であり、東京都足立区で地域密着型の予防歯科臨床を実践されており、小児の予防、口腔育成にも力を入れていらっしゃいます。

この度、さらに成人と小児の予防診療の充実化と円滑化を学びたいとの思いで、クリニックに見学に来ていただきました。

1日目は麻生キッズデンタルパークを中心に、朝のミーティングから終日臨床現場見学でした。麻生歯科での母子分離のトレーニング方法から小児患者や母親に対しての対応、細菌検査の実施状況など、『どのように行っているのか知りたい』という目的意識が明確であったため、見学を通じて多くのことを感じていただけたのではないかと思います。

2日目は成人チームと小児チームに分かれて衛生士の臨床見学を続行し、新患対応のデモンストレーションをしたり、お昼休みには当院のスタッフと一緒に昼食をとりながらディスカッションの時間としました。

予防歯科にも様々な考え方や、方法があり集団的予防方法や個別対応した予防方法など、その地域や医院にあった方法を小さな改善を伴いながら、患者さんの利益になる予防歯科医療を追求されておられるとお思いました。

 

この度の見学セミナーを通じて感じたことを医院に持ち帰り、スタッフ皆さんで話し合いながらより良いシステムを構築していただければ嬉しいです。

1日目の夜には懇親会を実施しました。静岡名物の食事を取りながら漫談すると、診療時間内では出来ないコミュニケーションが取れるので、オープンに会話が出来るのが良いですね。

これからも予防歯科クリニック同士、お互い高めあっていきたいと思います。