第35回 EBM勉強会

最近、当院において象牙質知覚過敏症に対する使用薬剤としてグルーマ、ティースメイトを相次いで導入しました。

そこで馴染みのないレジン系DH抑制剤であるグルーマの臨床的効果について調べてみることにしました。

 

 

テーマ「象牙質知覚過敏症における使用薬剤の効果について」  

 

今回引用した論文

Clinical efficacy of resin-based materials for dentin hypersensitivity treatment

Am J Dent 2017; 30(4): 201-204

 

レジン系材料の象牙質知覚過敏症(DH)治療における臨床的効果

 

(目的) 

レジン系DH抑制材の実際の患者への効果を、二重盲検法を用いて6ヶ月後まで診断して評価することで、安全かつ有効な治療法としてレジン系材料を用いることが可能であるかを検討した.

 

(方法) 

DHを訴える30名の成人患者が二重盲検法による臨床試験に参加した.DHの診断は2秒間の圧搾空気による刺激を用いて行った.

DHの痛みの評価はVAS法を用いて判断した(0:痛みなし,10:激痛).30名の成人患者の179歯に対して,コンピューター制御ランダム表に基づき3種のDH抑制材の1つを無作為に塗布した.

DH抑制材としてはクリンプロXTバーニッシュ(3M:CV),クリアフィルSEプロテクト(クラレノリタケデンタル:CP)、グルマ2ボンド(ヘレウスクルツァー:GB)の3種を用いた.

DHの痛みはVASスコアを用いて、術前、術直後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後に判定した.

 

(結果) 

DH抑制材の治療効果は、CV、CPおよび、GBとも術直後にVASスコアが優位に劇的に減少したが、1、3、6ヶ月間では治療効果に有意差はなかった.

また3種の製品間でも有意差は認められなかった

 

(考察)

 

今回の臨床研究の結果から,レジン系DH抑制材の塗布はきわめて有力な治療法であることが明らかとなった.

臨床実感と異なる結果であったが,今後使用時には確実な防湿をし,長期予後に期待したい.

ただしレジン系DH抑制材はレジン修復を阻害するので適応には症例を選択する必要がある.

 

 

 

 

 

第4回小児歯科クオリティアップ勉強会 

1月19日 赤坂の博報堂ラーニングスタジオにて、鶴見大学の小児歯科学講座教授である朝田先生による「第4回 小児歯科クオリティアップ勉強会 ベーシックコース」に参加してきました。

 

今回のテーマは2つ

障害を有する小児への対応法(知的障害、自閉スペクトラム症、ADHDなど)

精神機能障害児の治療時における問題点

 

障害を有する子どもの分類は主に8つあり、その中に様々な疾患や障害が含まれます。小児歯科の臨床において、何かしらの障害を有する子どもの場合、円滑に診療を行うことは難しいのが現状です。

医療従事者として重要なのは、各々の障害に対する言葉の意味合いを正しく理解すること。また、患者の口腔内だけに視点を置くのではなく、全身に注意を向けながら患者を診ることだと学びました。顔貌の特徴や会話の仕方、場合によっては、SpO2の数値測定や呼吸の有無などの確認は非常に重要なことです。今後の臨床でも、患者の情報を共有し、チームで連携して診療に臨みたいと思います。

 

続きを読む