6月26日に麻生歯科クリニックとASO KIDS DENTAL PARK合同でEBM勉強会を行いました。
今回の論文のテーマは
Relationship between tongue pressure and maxillofacial morphology in Japanese children based on skeletal classification
(日本人の子どもたちの顎骨の分類による舌圧と顎顔面の関係性について)
J Oral Rehabil.2018 Sep;45(9):684-691
この論文を選んだ理由は、臨床において口腔機能不全がみられる子どもたちが多く、不正咬合の有無によって審美面だけでなく筋機能面においても発達に違いがあるように感じたからです。
この論文を読み解き、小児における顎骨と舌機能ついて学ぶことにしました。
以下論文の概要となります。
背景
小児期の舌機能は不正咬合と密接に関連している。矯正治療によって舌機能の改善が可能といわれているが、どの程度舌機能が改善したのかを検査する方法が誰もが安全に同じように使用できるものなのかという疑問がある。
小児の顎顔面形態に対する舌機能の影響を明らかにするために、舌圧および口唇閉鎖力を測定し、骨格分類に従って舌機能と顎顔面形態との関係を評価した。また今回使用した検査方法が臨床の場において定量的な評価基準となりうるのか検証した。
方法
100人の子供[平均年齢9.1±1.5歳、男児34人(9.30±1.2歳)と女児66人(9.1±1.5歳)]を対象にし、セファログラムを用いて3つのグループに分けた。
舌圧はJMS舌圧測定装置、口唇閉鎖力はLip deCum®LDC-110R、口蓋容積は非接触3次元デジタイザVIVID910を用いて測定した。
結果
結論
1)最大舌圧、嚥下舌圧および口唇閉鎖力は、下顎前突グループよりも上顎前突グループで有意に低く、前後の骨格分類による変動を示している。
2)最大舌圧と嚥下舌圧の間に強い正の相関が観察され、機能評価における有用性が示された。
3)嚥下舌圧と口蓋容積の正の相関は、舌圧と舌機能が口蓋形成に影響を与えることを示した。
4)将来的には、この研究から得られた情報を使用して、歯列矯正治療を必要とする子どもの舌機能を評価することを目指す。
以上となります。
私達の考察は、矯正治療中の子どもたちの治療前後の評価としての一つの資料になるのではないかと感じました。咬合・歯列の変化に加え、筋機能面においても、どのような変化が生じたのかを合わせて評価することで、矯正治療のメリットとしてさらに臨床の現場で伝えられるのではないかと考えます。