「歯科医が感染症医となる日」、セミナー受講 

医科歯科連携のセミナーに参加してきました。
今回参加したセミナーは、

日本アンチエイジング歯科学会主催、 医歯連携 ~最新健康三大トピックス~ 歯周病を全身感染症として捉える時代の到来 「歯周病」「糖尿病」「認知症」~その関連性を探る~というものです。

プログラムは、

1.「口腔―腸 マイクロバイオーム相関から見える未来」.辻村  傑 先生 (医療法人社団つじむら歯科医院理事長・IDHA 国際歯科衛生士学会会長)
2.「なぜ歯周病菌は、糖尿病やアルツハイマー病を引き起こすのか?」 西田 亙 先生 (糖尿病専門医・にしだわたる糖尿病内科 院長)
3.「歯科でできる糖尿病療養指導」原瀬 忠広 先生 (愛媛県糖尿病協会理事・医療法人原瀬歯科医院理事長)
4.「認知症専門医が教える!脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!」 長谷川嘉哉 先生 (認知症専門医・医療法人ブレイン理事長)
で、2名の歯科医師の方、糖尿病専門医の方、認知症専門医の方のお話を聞くことができました。

大変多くの情報を知ることができたなかで、特に心に残っていることは2つあります。
ひとつめは、歯周病菌の中で病原性の高いPg菌(Pgi菌)が歯肉や全身に住み着くというお話の中での病理検査の写真です。
細胞内に侵入し、通常では不可能と思われる脳内にも明らかに侵入しているその画像に震撼しました。
歯周病とアルツハイマー病との関連はバラエティー番組でも取り上げられており、一般の方にも知られてきています。この事実と口腔ケアの重要性をさらに広めていく必要性を感じました。
2つめは、“講演とセミナーの違い”です。
講演とは何度聞いても良い話、ということで、聴衆が、聞けてためになったなと感じる話です。それに対して、セミナーとは行動を促す要素×方法論の秀逸さが求められます。
セミナー講師として人前に立つことがあるなかで、大切なことを教えていただきました。

歯周病のハナシ 1 

歯周病は単に“口の病気”というだけではありません。
昨今、全身疾患との関連が広く取り沙汰されています。

オトナが歯を失う原因の多くは歯周病です。
歯周病には完治というものはありません。「治った!」と思うのは症状が寛解しただけです。
歯周病は慢性炎症といって、慢性的に(ずっと)腫れている状態です。
歯肉に潰瘍面ができ、赤くなったり腫れたり、血が出たりまたは膿が出たりします。

慢性炎症は、火事に例えることができます。
慢性炎症は、大火事ではなくいわゆるボヤです。ボヤでも、火事を放置する方はいないと思います。
ところが、歯肉から血が出ることを気に留めず放置している方もいるという大変危険な状態に遭遇することも時々あります。
自分でも感じるくらいの腫れや出血があるときは、歯周病の症状が急性化していてとても危険な状態です。

歯周病による慢性炎症は全身に広がります。体のどこか(口の中)に炎症があと、炎症メディエーターが血流を介して全身に広がります。
すると、体のいろいろな所でくすぶっていた炎症の芽が、活発な炎症に変えられます。
これが、歯周病が全身疾患の発症や悪化にかかわるメカニズムのひとつです。
また逆に、身体のほかの臓器の炎症が口に影響を及ぼすことも知られてきています。
血液中に侵入した細菌そのものが全身を駆け巡ることも全身疾患につながります。

私たちはメインテナンスを通じて、患者さんに合ったプロケア提供とと高度なセルフケア習得を促しています。