ナイトデンチャー(夜間オーラルアプライアンス)

部分床義歯装着者の患者には、通常「夜間は義歯を外してください。」と指導します。これは義歯の粘膜面により傷ついた粘膜や力のかかった支台歯の歯根膜を回復させるためと、義歯の表面についた汚れ、特にカンジダ菌などの真菌の増殖を防ぐためです(誤嚥性肺炎の防止)。

ところが上下の残存歯による咬合支持が減少している場合、従来通りに”就寝時に義歯を外す”指導を行った場合、残存歯や顎関節に負担が増大し、重大な障害をもたらすことがあります。そこで、患者にはナイトデンチャー(夜間オーラルアプライアンス)を使用することを推奨しています。

ナイトデンチャーとは、その名の通り、夜間に使用する義歯(オーラルアプライアンス)です。歯の欠損部には床付きのスプリント、残存歯部には通常のスプリント、維持不足の場合はクラスプ等の維持装置を付与した構造をしています(症例参照)。

その1番の目的は、ブラキシズム等、睡眠時に生じる力が少数残存歯へ集中するのを防ぎ、力を歯列全体へと配分して残存歯破折、咬耗および動揺の増大を防止することです。また、オーラルアプライアンス(スプリント)と同様の効果も期待され、顎関節の加重負担を防止することです。

もちろん日中に使用する義歯を夜間も使用することは選択肢の1つですが、義歯人工歯の過度な咬耗や義歯の破折が生じることもあり、患者のQOLを損なう可能性もあります。そこで別途ナイトデンチャーを使用することで、日中の活動を妨げることを避けられます。さらに、日中の義歯を比較的清潔に保てるること、残存歯の確実な保護が可能となることで、その意義は大きいと考え、現在、麻生歯科クリニックでは積極的に推奨しています。

 

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