金属アレルギーの基礎と臨床~医科歯科連携はじめの一歩~セミナー

歯科医療従事者専用サイトWHITECROSSライブセミナーを受講しました。

金属アレルギーという言葉は比較的世の中に浸透しているように思います。
金属アレルギーには局所性と全身性があり、局所性の代表的なものはベルト・ネックレス・ピアスなどの金属が直接触れることで起こるもので、口腔内では口腔扁平苔癬です。
全身性は原因と離れた部位に症状が出現するもので、歯科金属アレルギーもこれに当たります。症状が現れやすい部位は、汗腺の多い手足とされています。

金属アレルギーの陽性反応が出ても、必ずしも症状が出現するわけではありません。また、手足にアレルギー症状が出ていても、口腔内の金属を外す前からそれらの金属が原因であると患者さんに伝えることは危険です。
統計的には、金属アレルギーだと診断して口腔内からメタルを取り除いても、湿疹などの皮膚症状が治まるのは約60%です。

私たちがカリエスでもない歯の金属を外すただ唯一の根拠は皮膚科で行う“パッチテスト”ですが、医院や病院によってその信頼度は大きく異なります。例えば、A施設で陽性が出てもB施設では陰性と診断されることも珍しくないとのことでした。できるだけ信頼度の高い診断を得ようとしたときには、皮膚科専門医で、かつパッチテストの訓練を受けている施設の選択が推奨されます。
これが医科歯科連携のひとつですが、金属アレルギーや皮膚科との連携に関わらず、書面だけではなく人と人の連携、「顔の見える連携」が必要です。私たちだけが連携をしたいと考えるのではなく、医科の方に歯科に興味をもってもらえるようアプローチしていく必要性があります。

掌蹠膿疱症という皮膚疾患があります。その原因のひとつとして、歯性病巣感染があります。
これは口腔内の慢性炎症、すなわち歯周病や根尖病変が原因で皮膚疾患が引き起こされるものです。
歯性病巣感染はペリオドンタルメディスン(歯周病と関連のある全身疾患)に代表されるように、私たち歯科界でも知られるようになってきており、掌蹠膿疱症もこれに含まれます。
歯科医療従事者として、慢性炎症のコントロールの重要性を再認識しました。
歯科のことだけでなく、歯性病巣感染を通して、「命に関わる歯科医療」を提供していくことがこれからの課題であると感じました。

そして一番大切なことは、口腔内にアレルギーのリスクとなる人工物を入れないこと、治療が必要な歯を作らないように導くことです。

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