第36回 EBM勉強会

 

麻生歯科クリニックとASOKidsDENTALPARK合同で

EBM勉強会を行いました

文献の題名は

Enamel roughness and incidence of caries after interproximal enamel reduction:

a systematic review

(エナメル質の粗さと隣接歯間エナメル質切削後のう蝕の発生率:システマティックレビュー)です。

 

当院では昨年からinvisalignシステムの導入し、患者さんへ提供しています。患者満足も高くとても良い治療方法だと考えますが、一方でエナメル質を一部リスキングすることによるう蝕の増加や進行について懸念されます。そこで今回のEBMはIPR後のう蝕の増加率を研究したシステマティックレビューを選択し検討しました。

 

文献の結果としては、“IPRで処理した歯の表面と対照歯の表面との間でう蝕の発生に統計的な違いは示されなかった”です。しかし、IPR後の“エナメル質の荒さ”に関してまだエビデンスに基づく結論を引き出すことは困難であり、当院での課題も見えました.

 

第35回 EBM勉強会

最近、当院において象牙質知覚過敏症に対する使用薬剤としてグルーマ、ティースメイトを相次いで導入しました。

そこで馴染みのないレジン系DH抑制剤であるグルーマの臨床的効果について調べてみることにしました。

 

 

テーマ「象牙質知覚過敏症における使用薬剤の効果について」  

 

今回引用した論文

Clinical efficacy of resin-based materials for dentin hypersensitivity treatment

Am J Dent 2017; 30(4): 201-204

 

レジン系材料の象牙質知覚過敏症(DH)治療における臨床的効果

 

(目的) 

レジン系DH抑制材の実際の患者への効果を、二重盲検法を用いて6ヶ月後まで診断して評価することで、安全かつ有効な治療法としてレジン系材料を用いることが可能であるかを検討した.

 

(方法) 

DHを訴える30名の成人患者が二重盲検法による臨床試験に参加した.DHの診断は2秒間の圧搾空気による刺激を用いて行った.

DHの痛みの評価はVAS法を用いて判断した(0:痛みなし,10:激痛).30名の成人患者の179歯に対して,コンピューター制御ランダム表に基づき3種のDH抑制材の1つを無作為に塗布した.

DH抑制材としてはクリンプロXTバーニッシュ(3M:CV),クリアフィルSEプロテクト(クラレノリタケデンタル:CP)、グルマ2ボンド(ヘレウスクルツァー:GB)の3種を用いた.

DHの痛みはVASスコアを用いて、術前、術直後、1ヵ月後、3ヵ月後、6ヵ月後に判定した.

 

(結果) 

DH抑制材の治療効果は、CV、CPおよび、GBとも術直後にVASスコアが優位に劇的に減少したが、1、3、6ヶ月間では治療効果に有意差はなかった.

また3種の製品間でも有意差は認められなかった

 

(考察)

 

今回の臨床研究の結果から,レジン系DH抑制材の塗布はきわめて有力な治療法であることが明らかとなった.

臨床実感と異なる結果であったが,今後使用時には確実な防湿をし,長期予後に期待したい.

ただしレジン系DH抑制材はレジン修復を阻害するので適応には症例を選択する必要がある.

 

 

 

 

 

第30回 EBM勉強会

 

今回は第30回目となるEBM勉強会が行われました。

当院では月に一度、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士が集まり、論文を読むことで根拠に基づく正しい知識を得て、患者さんに還元できるよう勉強しています。

今回は歯科衛生士2年目となり、初めての発表でした。先輩方にご指導いただきながら、論文を翻訳して読み、内容をまとめて発表させていただきました。

私たちのグループでは、CAMBRAでのリスク患者におけるフッ素応用手段も増えている中、成人の露出した根面齲蝕の予防および阻止手段で薬剤か充填か、どちらの方が有効であるかという疑問を持ちました。

テーマは「根面齲蝕の予防および進行抑制における効果的な処置方法について」です。

前回は同じテーマで薬剤であるサホライドに焦点を当てて調べており、今回は根面齲蝕の修復で使用することが多いグラスアイオノマーセメントを用いた充填について調べました。

選んだ文献がこちらです。

「Prevention of secondary caries using silver diamine fluoride treatment and

casein phosphopeptide-amorphous calcium phosphate modified glass-ionomer cement

フッ化ジアンミン銀とCPP-ACPを配合したグラスアイオノマーセメントを用いた

二次カリエスの予防」

Journal of Dentistry 57 (2017) 38–44

この研究はメルボルン大学と香港歯科大学の共同研究です。

論文の検索サイトPubmedにて5年以内の論文で最も疑問に即していたためこちらを選択しました。

以下に内容をまとめます。

1)目的
研究の目的は、従来のGICまたはCPP-ACPを配合したGICとフッ化ジアンミン銀塗布を組み合わせた時の齲蝕予防への効果を調査することである。

2)方法
修復グループ用の32個の小臼歯に窩洞を形成。

グループ1:従来のGIC修復

グループ2:SDF(38%)治療および従来のGIC修復

グループ3:3%CPP-ACP配合GIC修復

グループ4:SDF 治療および3%CPP-ACP配合GIC修復

修復された歯は、劣化プロセスを経て4種の齲蝕原生細菌に暴露し7日間培養した。

その後①マイクロCTにて象牙質の脱灰の深度を測定、②フーリエ変換赤外分光法により第3象牙質の化学構造の評価および③エネルギー分散型X線分光法で歯根象牙質のミネラル含有量の変化の評価を行った。データは、二元配置分散分析によって分析した。

3)結果

①グループ1〜4のマイクロCTで測定した脱灰の深度は、それぞれ123±6μm、87±7μm、79±3μmおよび68±5μmであった。脱灰の深さに対する相互作用効果が、CPP-ACP配合GIC とSDF 治療の間で見られた(p<0.001)。SDF治療とCPP-ACP配合の両方が、外病変の深さに有意な影響を及ぼした(p<0.001)。

②フーリエ変換赤外分光法では、SDF 処理とCPP-ACP配合GICが第3象牙質の化学構造の変化を評価に有意な影響を与えることを明らかにした。(p = 0.001)

③エネルギー分散型X線分光法より、グループ3および4の修復物に隣接する歯根象牙質でカルシウムとリンの増加を示した。

4)考察
結果は、フッ化ジアンミン銀塗布が二次カリエスの進行に対する耐性を増加させられることを示した。さらに、フッ化ジアンミン銀塗布とCPP-ACP配合のGICを併用した場合、二次カリエスの予防はより実質的であった。回の文献よりフッ化ジアンミン銀塗布のみでも一定の効果が確認されているが、根面齲蝕において実質欠損が生じた場合に、フッ化ジアンミン銀塗布とCPP-ACP配合のGICの併用が適応であると考える。しかし、CPP-ACP配合のGICは現在日本では購入困難であるため従来のGICとフッ化ジアンミン銀の併用が最も効果的であると思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今回初めて一から論文を読み、皆さんに理解してもらえるようにまとめることの難しさを身をもって感じました。知識を得ただけでなく、いかに患者さんにわかりやすく伝えていく大切さを改めて考えることができました。患者さんがより安心できる空間と健康を提供できるよう臨床に活かしていきたいと思います。

第29回 EBM勉強会 

テーマは“黒い着色の有無によるう蝕のなりやすさについて”です。

臨床において、黒い着色をもつ子どもたちが存在しますが、原因とう蝕との関連性について疑問をもち、今回の文献を検索しました。

 

文献のタイトルは

Black stain and dental caries in

Filipino schoolchildren

(フィリピン人学童の黒い着色とう蝕について)です。

 

結論は、黒い着色の存在は低う蝕経験と関連しているが、黒い着色のある子どもにおけるう蝕の分布の違いは認められなかった。

黒い着色、う蝕、口腔内細菌叢および食事の相互作用は不明のままであり、さらなる研究が求められているというものでした。

原因については明確にはわかりませんでした。

今回の不明点や、新たな疑問点である“黒い着色を未然に防ぐ方法”についてはブラッシュアップをするなど、今後も患者さんの口腔内を健康に導けるような情報を皆で勉強し続けたいとおもいます。

第28回EBM勉強会

麻生歯科クリニックとASOKidsDENTALPARKの歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士合同でEBM勉強会を行いました

当院では臨床で疑問に感じた内容について文献を調べることで科学的根拠に基づき解決するようにしています。

経験に基づき先輩やセミナー講師などの専門家の方々の意見も大事ですが、やはり自身で疑問の解決に導き、答えを知っていくことが、臨床力を高められ自信を持って患者さんに対応することできると考えています。

本日のテーマは“様々な歯冠形態における歯肉炎症との関係性について”です。臨床の中で歯冠長の違いによって歯肉炎が治癒しにくいバイオタイプがあるのではないか?との疑問をもち、今回の文献を検索しました。
発表では、なぜその疑問に至ったのか? PICOを活用し疑問の形式化を行い、
論文の検索方法と論文の選定に至った理由を話します。その上で研究方法と妥当性を検証し、できるだけ批判的な吟味を行うようにして行きます。そしてスタッフに理解していただけるようにプレゼン資料を作ります。EBMチームは3人体制で構成されています。

まだまだEbmerには程遠く準備に3週間程度かかります。

文献の題名は

ation of Clinical Expression of Plaque-induced Gingivitis:Effect of Incisor Crown Form

(プラーク誘発性歯肉炎の臨床的発生の調節:切歯冠形態の効果)です。

結論は、歯冠形態と解剖学的バイオタイプの関連性はあるものの、歯肉炎症症状への影響はないというものでした。文献で得た知識を周りのスタッフとシェアし、診療を質をレベルアップできるよう継続して勉強して行きたいとおもいます

 

 

第27回EBM勉強会

第27回EBM勉会

 

2019年5月27日 グループB 篠原 増井 望月

「Trajectory of social inequalities in the treatment of dental caries among preschool children in Japan」

〈背景〉

 むし歯をはじめとする歯科疾患は、罹患する人がとても多い疾患であり、小児のむし歯の治療は、家族の支出、小児の学校の欠席また両親の職場への欠勤を増加させる。う蝕の社会的不平等のために、社会経済的地位が低い家族では小児う蝕治療の負担が増大している

しかし、この健康格差が子どもの成長に伴ってどのように推移していくかの報告は世界的にも少なく、特に未就学児における報告は存在しない。そこで本研究では、厚生労働省の実施した追跡調査のデータを用いて未就学児におけるう蝕治療の経験の推移を明らかにした

〈対象・方法〉

 厚生労働省が実施する「21世紀出世維持縦断調査」は、全国の2001年1月10日~17日と7月10日~17日の間に出生した子どもを追跡している、日本のこの世代の子どもの代表的なデータとなるコホート研究である。

 これを用いて35.260人の子どもたちの過去1年間のむし歯治療を受けた割合を2歳6ヶ月から5歳6ヶ月までの期間について分析した。両親の教育歴を格差の計算に用いた。

学歴は中卒・高卒を低い学歴、大学等以上を高い学歴と分類して格差勾配指数と格差相対指数を算出して格差を評価した。

〈結果〉

 過去1年間のむし歯治療を受けた割合は2歳6ヶ月の時点で10%未満だったが、5歳6ヶ月の時点で30%以上に増加した。親の教育歴が低い家庭の子どもではむし歯治療経験は8.5%から41.5%に増加。一方教育歴の高い家庭の子どもでは5.6%から31.5%の増加。家庭の教育歴により、むし歯の健康格差が拡大傾向にあり、格差勾配指数でみると2歳6ヶ月の時点で4.13だったのが5歳6ヶ月では15.50となり統計学的にも優位な格差拡大がっ認められた。

〈まとめ〉

今回、リテラシーについて調べることにより、どの様な患者に対してチェックする必要があるかを認識することができ、その子の本来のリスクをしっかり判定することができると思った。

また、小児患者のカリエスリスクに関しては、知識だけではなく保護者の健康管理も重要になってくるため、来院された患者に関しては、よりいっそう家族での歯科受診を勧めていきたいと思う

 

第18回 EBM勉強会「根面齲蝕の予防および進行抑制における効果的な処置方法について」

第18会 EBM勉強会「根面齲蝕の予防および進行抑制における効果的な処置方法について」

歯科衛生士の中田です。

根面齲蝕(こんめんうしょく)とは歯の付け根の部分(以下、根面とする)が虫歯になることです。虫歯になりやすい部分であり、予防方法として良い方法を検討するためにチームで文献を読みました。

読んだ文献

「Controlling caries in exposed root surfaces with silver diamine fluoride: A systematic review with meta-analysis.

フッ化ジアミン銀を用いて露出した根表面の齲蝕の抑制 メタアナリシスによるシステマティックレビュー」

Oliveira BH, et al. J Am Dent Assoc. 2018.

 

1)目的

成人の露出した根の表面における齲蝕の予防および阻止におけるフッ化ジアンミン銀(SDF)の効果を評価します。

 

2)方法

2人の査読者がそれぞれ、言語や出版日の制約のない8つの電子データベース、5つの進行中の試行記録、および参照リストを含めた、少なくとも12カ月間の追跡調査を行った対照臨床試験を独自に検索しました。

 

3)結果

著者らは2,356の特異的な記録を見つけ、研究者が無作為に895の高齢者を割り当てた3つの試験が含まれていました。すべての研究の研究者は、フッ化ジアンミン銀(SDF)とプラセボを比較しました。

1人の研究者は、38%SDFとクロルヘキシジンおよびフッ化ナトリウムバーニッシュを比較し、主要な効果測定値は、脱灰または充填された根面(DFRS)における加重平均差(WMD)およびSDFと対照群との間の齲蝕発生の平均差でした。

この研究では、ほとんどの領域でバイアスのリスクが低く、SDF適用はプラセボと比較して有意により良好な予防効果がありました。

健康な根面の齲蝕病変の予防において、クロルヘキシジンまたはフッ化ナトリウムバーニッシュと同じくらい効果的でした。

SDFはまた、プラセボより有意に高い齲蝕の進行抑制効果がありました。SDFによる齲蝕病変の黒色染色に関する不満は高齢者にはあまりありませんでした。

4)考察

高齢者の露出した根の表面への毎年の38%フッ化ジアンミン銀(SDF)の適用は、齲蝕の発生および進行を予防する簡易的で安価かつ効果的な方法でした。

 

今回の文献を読み進める中でフッ化ジアンミン銀はクロルヘキシジンまたはフッ化ナトリウムバーニッシュと比べて根面齲蝕の予防効果がより高いことがわかりました。

今回のEBM勉強会を通じて、根面齲蝕の予防方法を改めて検討する良い機会となりました。フッ化ジアンミン銀を使用するにあたり、黒く変色するという見た目の問題もあることから、患者さんのニーズに合わせて提案していけるよう、さらにその他の方法も検討しながら勉強を続けていきたいと思います。

 

第17回 EBM勉強会 「高濃度フッ化物使用後の口腔内フッ化物保持率について」

歯科衛生士の渥美です。

歯科医院でメンテナンスを受けると、最後にフッ素を塗られることがあるかと思います。

「フッ素を塗ったので、30分は飲食を控えてくださいね」と私たちは患者さんに伝えますが、

30分ではなく25分では効果がなくなってしまうのか?30分という根拠がどこにあるのだろうと疑問に思い、チームで文献を読み発表しました。

 

読んだ文献

「Fluoride Retentuion following the Professional Topical Application of 2% Neutral Soldium Fluoride Foam  2%中性フッ化ナトリウムフォームの専門的局所利用後のフッ化物保持」Int J dent2011; Jul7.

 

アブストラクト

目的

・専用トレーを用いて2%中性フッ化ナトリウム(NaF)フォームを使用して、専門的な局所適用を

するためのフッ化物の適切な量および口腔内のフッ化物の残留量を決定すること。

方法

・歯列調査モデルを用いて、NaF発泡体の適切な量を決定する。

・8人の成人被験者において、適切な量のNaF発泡体、専門的な局所適用後の唾液中の

フッ化物濃度、および専門的な局所適用後の口腔内の残留フッ化物の量を調べた。

 

結果

・適正量は、専用トレーを用いる場合トレー縁2mm下に充填することで全歯牙を覆うことが可能である。

・永久歯の場合、フッ化ナトリウムフォーム平均使用量は0.8g 同様にトレーを使用する場合のゲル量の1/5である。

・フッ化ナトリウムフォームを4分間使用した後の口腔内フッ化物残存率は使用されたフォーム量の25%である。

・唾液中フッ化物濃度は30分までの間に急激に低下。30分以降は徐々に低下する。

考察

・塗布後30分以内に唾液中フッ化物濃度は急激に低下しており、30分以降は徐々に低下し

ているため、30分以降であれば唾液中フッ化物濃度に大差はないと考える。

・ゲルと比較して修復物を傷めない、使用量が少ない=体内に取り込むフッ素量が少ないと

いう利点があるが、齲蝕予防という点でゲルと同様の効果をもたらすというEBMは未だない

た患者のカリエスリスクや修復物に応じて使用したほうがよいと考える。

今回の文献を読み進めるなかで、唾液中のフッ化物濃度は30分以内に急激に低下しており、

30分以降は徐々に低下していることから、30分以内に飲食をすると高濃度で作用しているフッ化物の効果が台無しになってしまうことがわかりました。

今回のEBM勉強会を通じて、フッ化物のフォームタイプとゲルタイプの違いを改めて理解する良い機会となりました。フォームとゲルでは使用方法や利点も異なるため、患者さんの虫歯リスクに応じて使い分けて提案していけるように、今後も勉強をしていきたいと思います。

第16回 EBM勉強会「唾液分泌量低下への対応について」

第16回 EBM勉強会

テーマ『唾液分泌量低下への対応について』

唾液の分泌は,年齢を重ねるごとに低下し,常用している薬が多いと副作用により減少する傾向にあり、 唾液の分泌が低下すると,口臭やう蝕,歯周病リスクが上がります。

口腔乾燥症を有する患者に出会った時、私たちは、口腔保湿剤の使用、キシリトールガムの摂取、咀嚼回数を増やすような食事指導、唾液腺マッサージなどを患者さんに提案していました。しかし、それらの方法は口腔乾燥を有する患者に対して本当に効果があるのか疑問に感じ、今回はガムの摂取に焦点に当て文献をチームで読み発表を行いました。

 

選んだ文献:『Interventions for the management of dry mouth: topical therapies

口渇の管理の為の介入:局所療法』

 

結果として1597人の参加者を含む36の無作為化比較試験が、包含基準に合致しました。 2つの試験は唾液覚醒剤とプラセボ、9つの試験は唾液代替物とプラセボ、5つの試験は唾液賦活剤と唾液代替物を比較し、18の試験は2つ以上の唾液代用品を直接比較した試験、2つの試験は2つ以上の唾液刺激剤を直接比較しました。

酸素化グリセロールトリエステル(OGT)唾液代替スプレーは、電解質スプレー(標準化平均差(SMD)0.77,95%信頼区間(CI)0.38〜1.15)と比較して有効性の証拠を示しました。統合された口腔ケアシステム(歯磨剤+ゲル+うがい薬)と口腔貯留装置の両方が有望な結果を示しているが、その使用を推奨するには現在のところ十分な証拠がありません。

チューインガムは残存能力を有する大部分の唾液産生の増加と関連しているが、ガムは唾液代替物よりも多かれ少なかれ有効であるという証拠はないという結果でした。

 

私たちの「口腔乾燥のある患者に対してガムの摂取は唾液分泌量が増えるのか」に対して疑問の答えは、チューインガムは唾液量産出には効果があるが,持続性が必要な口腔乾燥の改善には十分な根拠がないという結論になりました。

しかし、刺激唾液が増えることにより緩衝能が高まることを考えるとう蝕リスクが高い患者にはガムの摂取を積極的に促すべきであると感じました。

今回のEMB勉強会の感想として、コクランレビューの文献であり研究によって比較しているものやアウトカムの表現が異なり、十分理解してスライドにまとめるまでに時間がかかりました。発表時は、スタッフに伝わりやすいように文献に記載されている物質が配合されている保湿剤を紹介し、臨床で活用できるように提案することができました。

様々な患者さんが来院されるので、リスクに応じて患者さんに合った指導が今後もできるように日々勉強していきたいと思います。

第12回EBM勉強会「乳酸菌の口腔内への有効性について」

私たちの診療スタイルは主に患者と歯科衛生士が一対一で接する中で診療を進めておりますので、患者からの質問や日頃の臨床における疑問も歯科医師監修のもと歯科衛生士自身で解決することが求められます。

そこで、当院では歯科衛生士を中心としたEBM勉強会を行っております。

目的は歯科衛生士一人一人が日々の臨床における疑問を文献を通じて解決できるようになることにあります。メディアやインターネットなどの情報社会の現代において信頼性がある情報なのかどうかを見抜く目を養うことは、非常に重要であり、結果として患者の口腔を健康に導くことに繋がると考えております。

本日のEBMセミナーは「乳酸菌の口腔内への有効性について」行いました


当院で行われているCAMBRAの医療面接の際に、患者さんの乳酸菌関連製品の使用状況が増加傾向にあると感じていました。そこで乳酸菌についての正しい知識の勉強をすべきだと思いこのテーマを選びました。

第12回EBM勉強会 ハンドアウト

論文の内容から、ある乳酸菌は齲蝕と歯周病のリスクを減少させるのに一定の効果がある事が分かりました。プロバイオティクスの研究は2000年以降から報告され始めていますがまだエビデンスレベルは高くはありません。
しかし効果については期待できる面もありそうですので当院でも今後導入を検討する余地はあると考えました。
これからも患者さんへ多くの情報提供できるよう日々アンテナをはり邁進していきます!