第27回EBM勉会
2019年5月27日 グループB 篠原 増井 望月
「Trajectory of social inequalities in the treatment of dental caries among preschool children in Japan」
〈背景〉
むし歯をはじめとする歯科疾患は、罹患する人がとても多い疾患であり、小児のむし歯の治療は、家族の支出、小児の学校の欠席また両親の職場への欠勤を増加させる。う蝕の社会的不平等のために、社会経済的地位が低い家族では小児う蝕治療の負担が増大している
しかし、この健康格差が子どもの成長に伴ってどのように推移していくかの報告は世界的にも少なく、特に未就学児における報告は存在しない。そこで本研究では、厚生労働省の実施した追跡調査のデータを用いて未就学児におけるう蝕治療の経験の推移を明らかにした
〈対象・方法〉
厚生労働省が実施する「21世紀出世維持縦断調査」は、全国の2001年1月10日~17日と7月10日~17日の間に出生した子どもを追跡している、日本のこの世代の子どもの代表的なデータとなるコホート研究である。
これを用いて35.260人の子どもたちの過去1年間のむし歯治療を受けた割合を2歳6ヶ月から5歳6ヶ月までの期間について分析した。両親の教育歴を格差の計算に用いた。
学歴は中卒・高卒を低い学歴、大学等以上を高い学歴と分類して格差勾配指数と格差相対指数を算出して格差を評価した。
〈結果〉
過去1年間のむし歯治療を受けた割合は2歳6ヶ月の時点で10%未満だったが、5歳6ヶ月の時点で30%以上に増加した。親の教育歴が低い家庭の子どもではむし歯治療経験は8.5%から41.5%に増加。一方教育歴の高い家庭の子どもでは5.6%から31.5%の増加。家庭の教育歴により、むし歯の健康格差が拡大傾向にあり、格差勾配指数でみると2歳6ヶ月の時点で4.13だったのが5歳6ヶ月では15.50となり統計学的にも優位な格差拡大がっ認められた。
〈まとめ〉
今回、リテラシーについて調べることにより、どの様な患者に対してチェックする必要があるかを認識することができ、その子の本来のリスクをしっかり判定することができると思った。
また、小児患者のカリエスリスクに関しては、知識だけではなく保護者の健康管理も重要になってくるため、来院された患者に関しては、よりいっそう家族での歯科受診を勧めていきたいと思う