CAMBRA Clinical Review

① CAMBRAケースレポート【オーラルケアグッズの誤った使用をしている患者】

30代女性

臼歯部に食片圧入しやすく、食渣があると軽度の疼痛あるとのことで受診されました

清掃状態:ブラッシング2~3回/日 歯間ブラシ・フロスの清掃補助用具使用あり

 

《リスク評価》

疾患因子:3年以内のう蝕治療歴あり

リスク因子:CariScreen(3551) MS・LBハイリスク、根面露出、矯正器具装着

防御因子:フッ化物歯磨剤1日2回以上、CHXジェル/洗口剤使用、キシリトールガム使用、

唾液量1.3ml/分

《リスクレベル》

ハイリスク

この結果から一つの疑問が浮かびます。
患者はモチベーションが高く自身で多くのオーラルケアグッズを選択し使用している状況ですが、う蝕リスクを下げるという効果を得られていません。
したがって、患者がセルフケアで使用しているグッズを一式持参してもらい使用順序、方法、頻度を確認したところ誤って使用している点が多く見つかりました。

折角、う蝕予防に効果的とされる薬剤を使用していたとしても正しく使用しなければ薬用効果が拮抗してしまい意味を成さない場合も多いです。この患者のケースは現在使用しているグッズの正しい使用方法と効果を再確認する指導を行いました。
特にフッ化物使用とCHX洗口剤の使用順序、間隔に注意する必要があります。

《予防計画》

・使用順序として

食事→キシリトールガム→フッ化物歯磨剤でブラッシング(イエテボリテクニック)を説明

・就寝前にCHX洗口剤の使用

 

 

② CAMBRAケースレポート【矯正患者のカリエスマネジメント】

当院では、患者さんに治療の繰り返しをしていただきたくないという想いから、行動変容アプローチを行い、個人に合ったセルフケアとプロケアによる口腔内の環境を改善した後に、必要な治療を行うことを推進しています。

矯正治療を行う場合も同様で歯垢は付着しやすく患者さんご自身のホームケアや生活習慣の改善なくして治療を行うのは危険です。こんな時CAMBRAでのリスク検査は、患者さんにも分かりやすく実行しやすく、再評価しやすい良いツールとなります。今回は矯正中の定期管理中の方のケースを紹介いたします。

 

27歳 男性

主訴:転勤で静岡へ。他医院で矯正を行っているが歯石を除去していないのでとってほしい。以前の歯科で衛生士さんに歯周病といわれたこともあるので心配とのこと。 

清掃状況:ブラッシング指導受けたことが無い。ブラシのみ1.2分 他清掃用具使用履歴なし2回/1日

既往歴:なし

 

リスク評価

疾患指標: XR3象牙質XR1エナメル質齲蝕認める

リスク因子:CariScreen7963 PCR75% 

根面露出(+)矯正装置の装着(+)MS,LBハイリスク間食+炭酸飲料常飲

防御因子:唾液量2.5/分

 

予防計画:疾患指標よりバクテリア因子に着目しPCR15%未満目標にTBI歯間ブラシ実施指導 

CHX洗口2/1日指導 現在のもの終了後フッ化物/TCP歯磨剤紹介

CHX定着後E齲蝕と矯正による歯肉退縮を考慮しフッ素洗口を情報提供

 

患者:今まで、ブラッシングも教えてもらったことが無く自己流であり、歯磨剤を選択購入することも無かった。虫歯も初めて作ってしまったので効果を効いて今後防げるのであればレベルの高いセルフケアを実践したいとお話有りその後も頑張って実践してくれました。矯正終了後再評価時仮スクリーン値 844!
ご本人も数値を見てすごいですね!と喜んでらっしゃいました。もう歯磨きしないと気がすまないとおっしゃってい
ます。CAMBRAを期に一生懸命取り組んでいただけた事で効果を発揮することのできた方のご紹介でした。

 

 

 

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