日本歯科衛生学会第14回学術大会に参加して

 9月14日~16日に名古屋にあるウインクあいちで行われた学会に参加してきました。今回は「治し支える歯科医療をめざして」というメインテーマで様々な著明な先生方の講演がありました。その中で実際に頭頸部がんを経験した方の講演もあり、一つ一つの言葉に重みがあり、命の大切さを再認識するとともに歯科衛生士として支援できることは何かを考えさせられる非常に良い機会となりました。平均寿命が延伸する中、癌等の疾患に罹患する患者も増加する可能性が考えられるため、歯科医療の面からできる支援について考えていく必要性を感じました。
 

 また、今回「リスク管理ツールの活用により行動変容と共に口腔内環境が改善した症例」と題して初期治療中の初期治療の重要性について口演発表をさせていただきました。

歯科衛生士学校の先生方や、病院に勤務する歯科衛生士が多い中、なぜ疾患に罹患したのか等原因に基づくリスク評価により患者一人一人に合わせた予防方法を提案、実践することにより、生涯を通じて口腔の健康を維持できることが示唆されたことを症例に基づき発表させていただきました。

いくつか質問していただくこともあり、初期治療中の初期治療の重要性について知っていただく良い機会となったのではないかと思います。歯科衛生士として患者の生活に寄り添える良いツールであると実感しているため、今後も様々な形で発信していけたらと考えています。

今回講演を聞く側として学会に参加するだけではなく、発表者という立場を体験し、発表者の視点で様々な発表や講演を聞くことができ、とても刺激の多い2日間でした。

今後も患者の口腔の健康に繋げられるように日々精進していきたいと思います。

CAMBRA訪問セミナー 

 9月26日に岐阜県土岐市にある みきえだ歯科医院様にCAMBRA訪問セミナーに行ってきました。10月9日開業予定であり、先生はじめスタッフの方々も笑顔溢れるとても温かい雰囲気の歯科医院でした。

 歯科医師(院長)、歯科衛生士、歯科助手、看護師の方にご参加いただき、予防的な考え方やCAMBRAの臨床での活用方法、レントゲン撮影・口腔内写真撮影・医療面接の実習をさせていただきました。初めて行う作業もあり、戸惑う部分もあったかと思いますが、スタッフの皆さんがとても前向きに取り組んでくださり、充実した時間を過ごすことができました。
 今回行った訪問セミナーは受講者の方との距離が近く、気軽に質問できることや、要望にお応えするために臨機応変に対応できる部分が両者にとってメリットが大きく、院内それぞれの課題に寄り添えるセミナーではないかと感じています。

 患者さんもそうですが、より多くの方に口腔の健康に導くことの大切さを伝えることは簡単なことではないと思います。その方の考え方や想いに寄り添った対応が必要不可欠ではないかと感じています。今回も様々な職種の方がおり、一人ひとりに合わせた対応を学ばせていただきました。今回のセミナーを通じて土岐市民の口腔の健康に導くために少しでもお力添えができたら嬉しく思います。

 土岐市で一番お口と全身の健康を提供できる歯科医院にしたいという先生方の想いの詰まった歯科医院に訪問させていただくことができて、とても刺激を受けることができました。今後ともできる面でサポートさせていただければと思います。ありがとうございました。

 

ASO KIDS 早期発育矯正 ④

ASO KIDS矯正チーム佐川です。

上の装置、下の装置をセットした後は、矯正のトレーニングに入ります。

なぜ、これが必要なのか?どのようにやるのか?を確認しながら。

それから、自分の言葉でファイルの用紙に頑張る要点をまとめてもらいます。

自分で書いた力は凄い。

がんばり表に、

①今日の気分。

②フェイシャルマスクを使ったか。

③ガムトレーニングをやったか。

を自分で毎日チェックしてもらいます。

カレンダー様式にしたら頑張り回数伸びました。

自宅で行うトレーニングは真面目に頑張るキッズっ子と、サボってしまうキッズっ子たちと術後の矯正の治療期間におおきく差がでてしまいます。

いかに持続できるかが正念場。

親子や兄弟巻き込んで、みんなで楽しくできるといいですね。(^_^)

ガム噛みというトレーニングでも約束ごとを3つだけ、守ることによって、左右のバランス、舌癖の除去、嚥下(飲み込み)の再確認など、人間寝たきりにならない、機能的な改善が見込まれます。

ASO KIDS 早期発育矯正 ③

ASO KIDS矯正チーム佐川です。

今回はハイラックスHY(急速拡大装置)についてです。

毎日、スクリューを一回ずつ拡大して、0.2ミリずつ側方に拡大する装置です。

側方拡大前⬇︎

側方拡大12.0ミリ拡大後⬇︎

 

 

 

 

 

 

ASOスカル君的には

 

 

 

顎骨の拡大の成長をイメージ出来たでしょうか?

上の二枚の歯牙模型の写真は上顎が左右対象にあり、正中口蓋縫合まではイメージできませんね。

0歳か幼児までは大泉門や小泉門がある関係で前頭骨が左右に分かれています。

キャンブラ症例 「メインテナンス中のケース」 

63歳女性
2010年から通院されているメインテナンス患者
2010年の細菌検査結果 : SM2 LB3 唾液分泌量10mm 緩衝能 緑 

食事回数4  PCR値100%

PCR値からわかるように、清掃状態が不良でした。
そのため口腔内に興味を持ってもらい、意識を変えることを目標とし、細菌検査の結果を用いて初期治療に臨みました。

補綴治療終了後メインテナンスに入り、現在8年が経過しています。
毎月通院を欠かすことはありません。

患者さんと向き合う長い年月で、清掃状態は58%に下がりました。
しかしそれ以上の改善がみられないなか、セルフケアの見直しの意味も兼ねてキャンブラを使用して再度予防計画を立案しようと考えました。

リスク因子:CariScreen2861
                  プラーク付着 50%以上
                  根面露出9本
                  リスク因子の中の改善項目
                  唾液分泌12mm (分泌量が増えました)
                  食事回数3    (回数が減少)

防御因子:フッ化物を毎日二回以上使用
             歯科医院における6ヶ月以内のフッ化物歯面塗布
             クロルヘキシジンの使用
             キシリトールの使用
             唾液分泌の量が多い

今回CRAフォームを用いて評価を行うと、患者さんは継続来院しているだけではなく、セルフケアの評価である防御因子が6とかなり多いことに気づきました。初期治療時に始めたキシリトールも継続使用していました。
間食回数も減っており、予防行動が定着していることがわかりました。

考察
現在のはPCR58%であり理想的な良い状態とはいえませんでしたが、
以前提案した生活改善が8年たった今でも続いていることが確認できました。
そのことで、結果として新しい齲蝕の発症は無く、齲蝕のコントロールができていることが再認識しました。
患者さんにも、今まで継続してきたことをほめることができ、さらにモチベーションがあがったようでした。
ブラッシングとしては強化すべきところがありますが、毎月の定期来院を約束しました。
担当歯科衛生士として、疾患予防に足りない部分のサポートを続けていきます。

 

 

 

第30回 EBM勉強会

 

今回は第30回目となるEBM勉強会が行われました。

当院では月に一度、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士が集まり、論文を読むことで根拠に基づく正しい知識を得て、患者さんに還元できるよう勉強しています。

今回は歯科衛生士2年目となり、初めての発表でした。先輩方にご指導いただきながら、論文を翻訳して読み、内容をまとめて発表させていただきました。

私たちのグループでは、CAMBRAでのリスク患者におけるフッ素応用手段も増えている中、成人の露出した根面齲蝕の予防および阻止手段で薬剤か充填か、どちらの方が有効であるかという疑問を持ちました。

テーマは「根面齲蝕の予防および進行抑制における効果的な処置方法について」です。

前回は同じテーマで薬剤であるサホライドに焦点を当てて調べており、今回は根面齲蝕の修復で使用することが多いグラスアイオノマーセメントを用いた充填について調べました。

選んだ文献がこちらです。

「Prevention of secondary caries using silver diamine fluoride treatment and

casein phosphopeptide-amorphous calcium phosphate modified glass-ionomer cement

フッ化ジアンミン銀とCPP-ACPを配合したグラスアイオノマーセメントを用いた

二次カリエスの予防」

Journal of Dentistry 57 (2017) 38–44

この研究はメルボルン大学と香港歯科大学の共同研究です。

論文の検索サイトPubmedにて5年以内の論文で最も疑問に即していたためこちらを選択しました。

以下に内容をまとめます。

1)目的
研究の目的は、従来のGICまたはCPP-ACPを配合したGICとフッ化ジアンミン銀塗布を組み合わせた時の齲蝕予防への効果を調査することである。

2)方法
修復グループ用の32個の小臼歯に窩洞を形成。

グループ1:従来のGIC修復

グループ2:SDF(38%)治療および従来のGIC修復

グループ3:3%CPP-ACP配合GIC修復

グループ4:SDF 治療および3%CPP-ACP配合GIC修復

修復された歯は、劣化プロセスを経て4種の齲蝕原生細菌に暴露し7日間培養した。

その後①マイクロCTにて象牙質の脱灰の深度を測定、②フーリエ変換赤外分光法により第3象牙質の化学構造の評価および③エネルギー分散型X線分光法で歯根象牙質のミネラル含有量の変化の評価を行った。データは、二元配置分散分析によって分析した。

3)結果

①グループ1〜4のマイクロCTで測定した脱灰の深度は、それぞれ123±6μm、87±7μm、79±3μmおよび68±5μmであった。脱灰の深さに対する相互作用効果が、CPP-ACP配合GIC とSDF 治療の間で見られた(p<0.001)。SDF治療とCPP-ACP配合の両方が、外病変の深さに有意な影響を及ぼした(p<0.001)。

②フーリエ変換赤外分光法では、SDF 処理とCPP-ACP配合GICが第3象牙質の化学構造の変化を評価に有意な影響を与えることを明らかにした。(p = 0.001)

③エネルギー分散型X線分光法より、グループ3および4の修復物に隣接する歯根象牙質でカルシウムとリンの増加を示した。

4)考察
結果は、フッ化ジアンミン銀塗布が二次カリエスの進行に対する耐性を増加させられることを示した。さらに、フッ化ジアンミン銀塗布とCPP-ACP配合のGICを併用した場合、二次カリエスの予防はより実質的であった。回の文献よりフッ化ジアンミン銀塗布のみでも一定の効果が確認されているが、根面齲蝕において実質欠損が生じた場合に、フッ化ジアンミン銀塗布とCPP-ACP配合のGICの併用が適応であると考える。しかし、CPP-ACP配合のGICは現在日本では購入困難であるため従来のGICとフッ化ジアンミン銀の併用が最も効果的であると思われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は今回初めて一から論文を読み、皆さんに理解してもらえるようにまとめることの難しさを身をもって感じました。知識を得ただけでなく、いかに患者さんにわかりやすく伝えていく大切さを改めて考えることができました。患者さんがより安心できる空間と健康を提供できるよう臨床に活かしていきたいと思います。

2019中国・四国デンタルショー、テーブルクリニック講演 

岡山県岡山市で行われた中国・四国デンタルショーで、

「患者さんに伝えたい、クラプロックスで“歯をまもるブラッシング”」というテーマで、デンタルショー内のテーブルクリニックコーナーで話をしました。

県外に出て感じることは、各地の歯科衛生士の思いはひとつだということです。
それは、目の前の患者さんに健康な歯肉と歯をもってもらうこと、もう少し砕けた言い方をすると、キレイなお口になってもらいたいということではないでしょうか。

そのために歯科衛生士は、様々な歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどを患者さんごとに選択し、提供していく必要があります。
なぜこのツールをあなたにすすめるのか、使うとどんな良いことがあるのかをイメージしてもらえるような対応も必要です。

理論づけて話すことが伝わる方、視覚的な指導が有効な方、触感で伝わる方、様々な患者さんがいらっしゃいます。
例えば、クラプロックスの歯ブラシはなぜ柔らかい歯ブラシなのかという理由(理論)を納得して使い始める方、その高いデザイン性に惹かれる方、触ってみてその柔らかさと気持ちよさという感覚から使い始める方、など。

今回の歯をまもるブラッシングの話のなかから、聞いてくださった方々がご自身のクリニックの患者さんに「これは伝えたい!」、と思う部分がひとつでも見つかったことを願います。

歯科衛生士のためのマイクロスコープセミナー受講 

神戸から歯科衛生士の高橋規子先生を麻生歯科クリニックにお招きし、マイクロスコープセミナーを受講しました。

午前中の講義では、

・ルーペとマイクロの使い分け
・歯科衛生士がマイクロスコープを使う理由

など、わかりやすく教えていただきました。

麻生歯科クリニックでは以前、以前患者さんの「抜歯の原因」を調査し、う蝕や歯周病によるものより歯の破折が多いという結果になったことがありました。
今回高橋先生のお話のなかで、「破折で歯を失うことになるなんてもったいない!」というものがあり、この数年前の調査のことを思い出しました。

う蝕や歯周病予防や進行抑制に関してももちろんですが、破折に関してもそれが起こりそうなリスクを管理していくことが、歯科衛生士のマイクロスコープ診療でできる可能性を知りました。

メインテナンスを提供するということは、患者さんとその場その場で点で関わるのではなく、ずっと、線で関わっていくことです。

マイクロスコープの一番のメリットである拡大視野が得られることで、口腔内の小さな変化を見逃さず、健康な口腔を保つことができる関わりかたをしていきたいです。

マイクロスコープは静止画や動画で記録ができることも大きなメリットです。
小さな変化に気づいたときには患者さんはもちろん、担当歯科医師や他の歯科衛生士と情報を共有し、最適な診療を提供していきたいです。

午後からの実習は、瞳孔間距離設定・視度調整など基本的な操作から、スムーズに視野が得られるようなテクニックをご指導いただきました。
すぐに明日から実践していきます。
とても楽しく、勉強になりました。

ありがとうございました!

 

秋のディスプレイ 

麻生歯科クリニック秋のディスプレイ。

キーカラーは赤。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暖色を基調としたまとまりの配色にしました。

ポイントはウォールステッカーの「コスモス」です。

コスモス(秋桜)は日本人になじみ深く、花が風にそよぐ姿が美しく表現されています。

雑貨とウォールステッカーの統一感を持たせるために

オレンジの紅葉と茶色い松ぼっくりも置いてみました。

まだまだ暑い日が続いていますが、少しでも秋を感じていただけるとうれしいです。

 

 

 

 

ASO KIDS 早期発育矯正 ②

ASO KIDS矯正チーム技工士の佐川です。

矯正の経過観察にはセファロ側方と言うレントゲンが必要です。

耳の穴に器具を固定しての撮影なので、

「痛くて動けなくて、なんでコレするの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     そこで、ASO KIDSスカル君の登場です。

東急ハンズで購入した3Dパズルのスカル君にはスカル君サイズのハイラックス(急速拡大装置)リンガルアーチ(固定装置)がセットしてあります。

3ヶ月前、6ヶ月前、初心時のセファロのレントゲンをパソコンにだし、スカル君のどこが変化したかをじっくり観察して答えを見つけてもらうと言うミッション。

スカル君用のフェイシャルマスクも必要との事。結局手作りで作る羽目に。笑

 

 「あっそうね。装置は上の二つの骨をひろげるためで、鼻の下の骨を前に出すためにマスクが必要だったんだ。」

「明日からまじめにマスク頑張るよ。レントゲンを撮る意味もわかったよ。」

と一件落着。

キッズっ子は納得したら行動は素直。なぜこれが必要なのかを根気よく伝えていきます!!