CAMBRA Clinical Review

CAMBRA ケースリポートです。

60代女性

主訴:右側第一大臼歯の自発痛が主訴で来院、臼歯部に補綴修復の既往が多くう蝕にならない方法を知りたいと希望されている

清掃状況:ブラッシング3回/日 3分程度、その他清掃用具の使用の既往なし

《リスク評価》

疾患因子 :R3 象牙質う蝕をみとめる

リスク因子:CariScreen(8880)MSハイリスク PCR71% 根面露出

フッ化物配合歯磨剤1日2回使用 唾液量1.5ml/分 

 

《リスクレベル》ハイリスク

《予防計画》

・疾患指標よりバクテリアの因子がすべてハイスコアだったことから、ハイバクテリアコントロールとして

  →CHX洗口、XYLITOLガム、歯間ブラシの導入を勧めた

・根面露出箇所を多数歯に渡りみとめる、今後の根面う蝕への対応として

  →フッ化物/TCP歯磨剤の応用を行う

患者自身から予防の提案説明の中で8020を目指したいと発言がありとても積極的な様子が伺えた

 

予防 メインテナンス専任DH教育について

歯科助手の海野です。

今回は衛生士教育にて患者役として参加したのでお話しします。

 

 最先端の予防歯科を謳う当院には現在12名の歯科衛生士が在籍しており、うち10名が専任衛生士として患者の定期管理を行っています。

地域住民の方々は、慢性疾患や、口内の健康管理のために診療室の歯科衛生士の基本治療を望んで来院され
疾患の進行状態に応じて、治療が必要なら一般歯科医や専門医の治療へと移行します。
歯科疾患の実に75%以上は、一度治療された歯や歯周病の再治療、再発です。私たちは質の高いメインテナンスで慢性疾患をコントロールすることが、結果的に歯を長く守る事ができ、最も患者さんの役に立つと信じています。

概ね専任衛生士一人当たり平均500人前後の患者さんを担当しており
平均月間メインテナンス患者数は1500人以上になります。20年前に開業した当初の診療機器2台で
開始した時と比べると、随分と診療スタイルが変化したのか、進化したのか分かりませんが
まだまだ多くの方々がメインテナンスを希望されていることは確かです。

 

当院の専任衛生士になるためには各分野の専門的スキルを身につける必要があります。
う蝕学、歯周病学、歯内療法学、修復物、補綴物の状態などの確かな診断力が要求されます。さらに心理学や
認知行動療法も習得します。

年ごと、期末ごとに細かなスキル達成のためのスケジュールを組んで衛生士個人のレベルに合わせたOne on Oneの臨床教育を行っています。教育によって衛生士は確かな人材に育てられますが、時間がかかります。新卒や中途入社した衛生士それぞれが、自分の実現目標を設定をし働きながらスキルアップできるので、やりがいを持ちながら安心して働くことができると思います。OJT(on the job trinning)をとうして臨床における問題解決能力を養成していきます。患者さんに信頼されるメインテナンスを提供するのであるならば、必要不可欠な要素です。その結果メインテナンスの平均継続率は80%近くに達します。

 

 先日は非外科的歯周治療スケーリング・口腔衛生士指導、TBIの実習でした。スタッフが患者役となり教育担当(チューター)の専任衛生士が指導を行っております。まず始めに時間を決めてひと通り衛生士の中田さんにTBIを受けました。時間内に基本的な処置をすることは、患者さんとの信頼関係構築に必須です。

 現在使用している歯ブラシと歯間ブラシを使用し手鏡を使って教えてもらいます。指導役である専任衛生士の柿本さんから口腔内の見せ方や言葉の使い方、伝え方などのアドバイスをもらい、もう一度確認しながら進めていました。

 1回目でよくわからなかった所や自分で上手くできなかった所がありましたが、指導後のほうが説明がわかりやすく私自身もコツを教えてもらい実感することができました。

 様々な患者さんがいる中で、その患者さんに合った話し方や伝え方があるということや、実際やってもらうときのコツがわかり患者役で受けている私からもとても勉強になります。

 経験豊富な衛生士さんが多く在籍し1対1で指導してもらえるのでスキルアップが早く、高い技術レベルの習得が可能になります。自己流の技術で患者さんを管理していくのではなく客観的に評価してくれる先輩がたくさんいるので困った時などはすぐに教えてもらえるすごく恵まれた環境だと思います。

 引き続き教育プログラムが続きますので次回は教育を受ける衛生士さんの感想も聞きながら今後の参考にしていきたいと考えています。

 

本日の自費カンファレンス

麻生歯科クリニックでは毎週月曜日に自費カンファレンスを行っています。

自費率向上、症例を見極める目を養うこと、統一した見解を持つことを目的に行っています。

今回は歯肉移植の症例、アライナー矯正の症例でした。

歯肉移植の症例は歯肉が薄いために歯肉退縮が生じた症例であったため、歯肉移植をしても再び退縮する可能性があるとアドバイスをいただきました。なぜ歯肉退縮が起きたのか?まずは原因を考えた上で、適した処置を選択する必要性を改めて認識しました。

アライナー矯正の症例はすぐにでも行いたい患者さんの症例がいくつかあり、次回検査を受けていただくことになりました。様々な患者さんがアライナー矯正を希望してきた場合、カンファレンスを通じて目を養うことで歯科衛生士としても患者さんに積極的にアドバイスを行うことができるのではないかと思います。

一対一で患者さんと向き合う中で感じた疑問をカンファレンスを通じて解決し、自信を持って患者さんに返答することができるため、本日学んだことを明日からの臨床に活かしていきたいと思います。

金属アレルギーの基礎と臨床~医科歯科連携はじめの一歩~セミナー

歯科医療従事者専用サイトWHITECROSSライブセミナーを受講しました。

金属アレルギーという言葉は比較的世の中に浸透しているように思います。
金属アレルギーには局所性と全身性があり、局所性の代表的なものはベルト・ネックレス・ピアスなどの金属が直接触れることで起こるもので、口腔内では口腔扁平苔癬です。
全身性は原因と離れた部位に症状が出現するもので、歯科金属アレルギーもこれに当たります。症状が現れやすい部位は、汗腺の多い手足とされています。

金属アレルギーの陽性反応が出ても、必ずしも症状が出現するわけではありません。また、手足にアレルギー症状が出ていても、口腔内の金属を外す前からそれらの金属が原因であると患者さんに伝えることは危険です。
統計的には、金属アレルギーだと診断して口腔内からメタルを取り除いても、湿疹などの皮膚症状が治まるのは約60%です。

私たちがカリエスでもない歯の金属を外すただ唯一の根拠は皮膚科で行う“パッチテスト”ですが、医院や病院によってその信頼度は大きく異なります。例えば、A施設で陽性が出てもB施設では陰性と診断されることも珍しくないとのことでした。できるだけ信頼度の高い診断を得ようとしたときには、皮膚科専門医で、かつパッチテストの訓練を受けている施設の選択が推奨されます。
これが医科歯科連携のひとつですが、金属アレルギーや皮膚科との連携に関わらず、書面だけではなく人と人の連携、「顔の見える連携」が必要です。私たちだけが連携をしたいと考えるのではなく、医科の方に歯科に興味をもってもらえるようアプローチしていく必要性があります。

掌蹠膿疱症という皮膚疾患があります。その原因のひとつとして、歯性病巣感染があります。
これは口腔内の慢性炎症、すなわち歯周病や根尖病変が原因で皮膚疾患が引き起こされるものです。
歯性病巣感染はペリオドンタルメディスン(歯周病と関連のある全身疾患)に代表されるように、私たち歯科界でも知られるようになってきており、掌蹠膿疱症もこれに含まれます。
歯科医療従事者として、慢性炎症のコントロールの重要性を再認識しました。
歯科のことだけでなく、歯性病巣感染を通して、「命に関わる歯科医療」を提供していくことがこれからの課題であると感じました。

そして一番大切なことは、口腔内にアレルギーのリスクとなる人工物を入れないこと、治療が必要な歯を作らないように導くことです。

小児症例検討会〜CAMBRAを用いた症例〜

ASO KIDS DENTAL PARKでは、毎週症例検討会を行っています。

患者さんにより良い情報を提供出来る様に日々、スタッフ同士切磋琢磨しております。

今回のテーマは「CAMBRAを用いた小児患者のカリエスコントロール」について

<1症例目> 2歳11ヶ月の男児

全顎的にカリエスが多発している患者への予防治療計画の立案方法の確認

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<2症例目> 14歳3ヶ月の女児

口腔内環境が不良な患者に対してのTBI確立と、今後の予防計画について

*考察*

 現状出来てしまっているカリエスの進行抑制と、今後のカリエスリスクコントロールが必要な症例だった。

この患者さんがどの様な経過を追って現状のカリエスに至ったか、その原因がいつから行われていたのかを知ることにより、今後の患者さんに指導した内容の定着度が変化する可能性があると感じる。

今回の患者さんに関しては、経緯に関しての聞き取りが甘かったと感じた。

 予防計画の立案の中で、その患者さんが達成できそうな短期目標や最終的な長期目標を患者さんとともに考え、予防プランを提供することによって患者さんに寄り添って予防をしていくことが可能だと感じる。

そのためには、医療面接でいかに患者さんが医院に望むことを聞き出せるかが重要だと思う為、日々の医療面接の聞き取りを注意深く行い、患者さんによりよい予防方法を提供できるようにしていきたい。

麻生歯科の働くお母さん  産休・育休制度を利用して   

麻生歯科に入社して14年目になります、歯科衛生士です。
私は昨年9月に第二子を出産し、今回2回目の産休・育休を経て5月より職場復帰いたしました。

 

歯科衛生士という職業は、妊娠出産を期に退職する人が多く離職率が高いと言われていますが、衛生士は患者さんの口腔内の健康維持に直接的に貢献でき、とてもやりがいのある職業なので、安易に辞めてしまうのは残念に思います。
その背景には、院内の産休育休制度が整っていないこともひとつの理由のようです。

 

麻生歯科はメインテナンスに特化した歯科医院であり、臨床における歯科衛生士の存在意義が大きく、担当衛生士による固定メインテナンスが原則です。一般的な治療型歯科医院であれば、患者さんの定期管理患者の来院数や医業収入の面でリスクや心配が生じることもあるかもしれません。しかしメインテナンス中心の予防歯科の場合、担当衛生士の診療スキルやメインテナンスの業務フローも、教育訓練により標準化されているので、育休産休時に別の同じことができる衛生士に一時担当を変更し、休職中の診療マネジメントにかかる医院や患者さんの心配を極力最小にすることができます。

 

職場復帰した際に、担当を一時的に変更して戻ってきてくれた患者さん達から、「帰ってくるのを待ってたよ」とか「戻ってきてくれて嬉しいです」などと言った言葉をかけていただくと、心底私も嬉しく、あらためてやりがいを感じる毎日を送らせていただいています。

 

ワークライフバランスが変わり、院内勉強会や残業など、以前のように働こうと思っても仕事と育児の両立は大変で家族の協力が必要です。それ以上に職場の環境の手助けも必要です。

麻生歯科では、子供の成長に伴ってその時々に、どのように働いていくか、ということを受け入れてくれ、働きやすい環境を柔軟に対応していただけることで、とても復帰しやすく長く続けられると思います。

 

ライフスタイルが家族構成によって大きく変わる女性にとっては嬉しく、安心して働ける環境であることを

すごく気に入っています。

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        

 

患者さんが求める歯ブラシ

小さい子にとって歯ブラシの時間は、あまり楽しくない子が多いです。

小さい頃から慣れておくことがとても大切になります。でも、赤ちゃんに歯ブラシを持たせて、喉の奥に刺したりしたら、と考えると恐ろしいですよね。

その時には、このネックがよく曲がる歯ブラシをお薦めしています。転倒時のお口の中の負担を軽減させることができます。

この歯ブラシは2歳頃まで使っていただき、自分で歯を磨く練習をするのに適しています。

また、CURAPROXの歯ブラシは毛がとても柔らかく、歯茎に当たっても痛くないので、仕上げ磨きをするのにとても適しています。

しかし、小さな子供が自分で使うには長さもありますし、転倒時の危険性なども考えられるため交換期の5歳以降くらいが望ましいといえます。

やはり、患者さんが求めているものを、しっかりと聴き、個別の望ましいものを提供し不安を取り除くことが大切ですね。

それでこそより良い関係が築けます。

新横浜にて「歯をまもる歯みがき」の話をしてきました 

歯科衛生士の柿本です。

新横浜にて、主に一般の方を対象とした歯みがきの話をしてきました。
内容は、
• なぜ歯をみがくのか
• 歯周病とむし歯
• 歯みがきのコツ
• 歯をまもるために
の4つです。

口腔の代表的な疾患は歯周病とう蝕です。
多因子疾患ですが、細菌が原因の一つであることは確かです。残念ながら、細菌を完全に駆逐することは不可能です。病原性が高まらないようにする方法で最も身近なものこそ、歯みがき、ではないでしょうか。
現在、さらに近い将来の歯科の問題は、歯周病と「根面」う蝕です。
歯周病は残存歯の増加と寿命の延伸により、きちんと取り組むべき課題です。
健康意識が高い方に起こりやすいのが、歯肉退縮、歯ぐきが下がってしまうことです。歯肉退縮により歯根面が露出されることで、「根面」がとてもう蝕になりやすくなります。せっかく美しく健康な口腔を望みブラッシングしているのに、こんなマイナスなことが引き起こされるとしたら残念です。
適切なツールを選びその使い方をきちんと知り使用することで、ダメージなく健康を手に入れられると思います。天候が不安定ななか参加してくださった方々は、とても熱心でした。もっと早く知りたかった、と言ってくださる方もおり、この話が少しでもその方の「健口」に役立っていくことを願いながら帰路につく、充実した一日でした。


栄養学講座1 子育ての忙しさに負けない栄養ケア・簡単レシピ セミナー

子育ての忙しさに負けない栄養ケア・簡単レシピと題しまして麻生キッズデンタルパークにて株式会社ヘルシーパスさんと共同主催のセミナーが開催されました。


産経新聞の記事によると、日本の赤ちゃんの10人に1人近くは体重2500グラム未満で生まれ、こうした低出生体重児は将来、糖尿病などの生活習慣病のリスクが高いと言われるているようです。

胎児の発育が不十分になる原因の一つは妊婦の不健康な痩せ、にあるようです。今、20代女性の2割余りは痩せ形で、栄養不良も広がっていると心配されている。女性と赤ちゃんの健康を少しでも早く改善と、キッズデンタルパークならではの栄養指導に取り組み始めましたので、ご報告して行きます。

 

BMI

栄養学講座1は、子育ての忙しさに負けない栄養ケア・簡単レシピと題しまして、2部構成で低年齢のお子さんをお持ちのお母さんにセミナーを行いました。

 

第1部は、田村社長よりご講演頂き、ご自身の身体を見つめ直し、必要な栄養素についてのお話でした。日頃のイライラしやすかったり、体調を崩しやすい、便秘になりやすいなど具体的な症状に対してどの栄養素がどの様に身体の中で使われているのか。また、栄養素の中で何が不足しているのかを教えて頂きました。

もっとも重要視されているのは若い女性が痩せていることです。国の調査では20代の女性の5人に1人は、体重指数(BMI)が18.5未満の痩せで朝食欠食(栄養ドリンクや菓子だけの飲食を含む)は4人に1人です。平均エネルギー摂取量も必要量に届いていません。

 

第2部は、第1部で必要と言われた栄養素を簡単に家庭に持ち帰って実践できるレシピをご紹介と試食会を行いました。キッチンが汚れず、短時間でつくることができ、味も抜群!お腹も心もおいしくいただきました。

帰り際には、早速今日からできることをスタートさせていきたいと各々意気込んで頂き嬉しく思います。

熱意のある健康観の高い患者さんが多く通っている医院のスタッフとして、自身も身体の仕組みの理解や健康維持をしていかなければと改めて感じるセミナーでした。

 

次回は『-1歳からの栄養について』を7月16日に開催予定です。

衛生士2年目、初の学会参加で思ったこと

 第37回 日本顎咬合学会に参加してきました。歯科衛生士2年目となり今回が初めて大きな学会への参加でした。普段の診療とは違い、とても広い会場に各ブースそれぞれの雰囲気や多くの歯科医療従事者の皆さんが集まっている風景がとても新鮮に感じました。

 今回は麻生歯科クリニックの先輩歯科衛生士の講演を一番の目的に参加しましたが、他院の症例や先生方の講義を聞かせていただき、思っていた以上のことを学んでくることが出来ました。

「考える歯周治療への招待」と題された、歯周病を中心とした内容の講義では、患者さんの生活背景やレントゲン写真、口腔内から読み取れる情報を元に現在罹患している歯周病が治りやすいものなのかそうではないのか、ポイントを押さえて観察することでその傾向が見えてくるというものでした。過去から現在、そして少し見えてきた未来のお話を患者さんにしてあげられることで、より明確な治療方針をたてることができ、患者さんのモチベーションのコントロールに役立てられると感じました。歯周病は改善するのが難しい病気ですが、患者さんと同じゴールに向かって初期治療を進めていく重要性を改めて認識しました。

 また、先輩の歯科衛生士の講演では、私たちが日々取り組んでいる臨床において大切にしていること、それぞれの患者さんに合わせたアプローチを行い行動変容へ導いていることを皆さんに発信していました。最初は自分の歯や口腔について関心がない患者さんも多くいらっしゃいますが、患者さんの性格や感心の度合いに合わせて言葉を選び、話しをしていくことの大切さ、そしてそのひとつのツールとしてiTOPを用いてTBIを行うことでセルフケアの重要性を理解してもらうことが必要だと再確認できました。このような大きな舞台で話す機会を得られることは、日々の勉強や臨床の積み重ねであり改めて尊敬できる先輩であると感じました。見本となる歯科衛生士のみなさんと一緒に働かせていただけることを誇りに思い、先輩の姿を追って私も患者さんを健康に導けられることを目標に励みたいと思いました。

 今回の学会では、日々のカンファレンスや教育で学んだ知識を踏まえて聞くことができ、より理解を深めることができました。院内だけではなく、学会やセミナーに参加し機会を設けることで、自分に足りない知識や技術を改めて知ることができ、そこで得た知識を身に付けられるよう臨床の中でもトレーニングしていきたいです。