MDH ~マイクロスコープ歯科衛生士~  貞松

こんにちは歯科衛生士貞松です

5月23日マイクロスコープセミナーをMDH歯科衛生士大野先生をお招きし

当院にて行いました。

 

予防歯科で最も重要なこととして患者に疾患の病態やメインテナンスにおける細かな変化があった部位の情報を伝えることがあります。

診療について説明をする、ツールとして口腔内規格写真を当院では以前から導入していますが、5年ほど前から歯科衛生の部屋にもマイクロスコープを7台導入しました。

 

通常の視覚より現在、起きている新しい情報を大きな画面にて動画や写真で患者さんに情報提供できることにより、患者さんがご自身の口腔内の状況が分かり易いとお声かけ頂いたり、ご自身の口腔内に興味を持っていただくことで、口腔ケア管理の重要性を理解され口腔内の改善が見られてきました。患者さんの歯や歯肉を傷をつけないメインテナンスや、小さな虫歯の早期発見、肉眼では見えない修復物のズレから起こる2次的な虫歯を発見たりとマイクロスコープの活用は私達には無くてはならないものとなっています。
また、歯科医の治療のクオリティーも明らかになってしまうので、どのような考えで、患者さんの為に治療しているのかも良くわかるようにまります。笑

今回大野先生にはより一層痛み無く行うメインテナンス、患者さんに情報提供できる画像の見せ方など指導いただき、より歯科衛生士としてのスキルを上げ益々患者さんに貢献したいと感じました。

 

予防歯科における自費治療 その1

当院では、歯内療法専門医による質の高い根管治療をご提案しています。

歯を残すためには治療を繰り返さないことが大切です。

 

マイクロスコープを用いた高度な治療と患者さん自身のセルフケアの確立によって、より健康的にご自身の歯を長く機能させる、すなわち歯の保存、延命に繋がります。

一般的な保険治療での根管治療は、技術的、時間的制約により
根管治療の成功率(再発させない)や保存率(自分の歯の寿命)は5割にさえ満たないと言われています。
ましてや、ラバーダムもしない劣悪な環境下で、歯の神経の治療は想像できず、倫理的にも問題があります。

しかし、環境を整え、十分な知識と高い技術を持った専門医の根管治療では8割以上の高い成功率のもと、繰り返しの治療を防ぐことが出来ます。
ぜひ、この事実を知っていただきたいと思います。
先日、患者さんでもある眼科医が、
どうして歯科治療でマイクロスコープ(顕微鏡下での治療)の使用が普及しないのか?
使用が当然❗️という気持ちでこられました。
そして、1診療時間あたり90分くらいの根管治療を数本受けられています
根管治療は回数こそ少ないですが、一回の診療時間は長くかかります。
そのくらい、神経を使うデリケートな診療で
欧米では最も格式の高い歯科臨床の一つです。

根管治療において、保険治療と自費治療では何が違うのか、どのようなメリット・デメリットがあるのか、患者さんに伝わるように十分な医療説明を行います。

治療の選択肢を提示し、患者さん自身で決めて頂くことで自分の歯について考えてもらい、
歯の価値を見出していただく機会にもなります。

お知り合いに、歯の根の治療で困っておられる方がいましたら
なんなりとご相談ください。

待合室モニターに注目! 

2019年3月7日、3F予防診療フロア待合室にモニターを設置しました。

予防診療フロアにお見えになる方は定期的にメインテナンスを受けていただいている患者さんがほとんどです。
そんな健康意識の高い患者さんに、最新の情報をお伝えするためにこのたび情報提供モニターを設置しました。
メインテナンスでは「生涯健康な歯で食事や会話、生活を楽しんでいただく」こと、つまり「歯を守る」ことを理念に、私たちは診療しています。
ここでは、そのなかでひとつご紹介したいと思います。
「歯を守る」ために最も重要なことは歯みがきです。
麻生歯科クリニックでは、スイス製歯ブラシ“クラプロックス”を取り入れています。
クラプロックスの歯ブラシを初めて見た方は、おそらくそのデザイン性に目を奪われることでしょう。カラフルでとてもおしゃれです。
次に触れたときにその柔らかさに驚くことと思います。
クラプロックスの歯ブラシは、まるで歯ぐきをマッサージするような感触で歯をツルツルに磨き上げることができます。
使い方は担当歯科衛生士が患者さんにお伝えしていますが、待合室のモニターでは動画でお伝えしています。

 

小児歯科との連携

当院では、ASOキッズデンタルパークと連携し親子で同じ医療方針の歯科医院にかかり、健康管理していくメインテナンスを強く推奨しています。

自分だけではなく、家族単位での通院が家族のお口の健康を守ることに繋がるからです。

また、家族の生活習慣をよりよいものに変えていくことで健康な身体と豊かな生活を得ることが出来ます。

キッズでは通院している子供たちも次第に成長し、永久歯が生えそろう段階で当院に転院することを勧めています。U12まで、とはいえ慣れ親しんだ医療環境や乳幼児からのパートナーである衛生士との強い関係性には双方向で信頼関係が構築されています。

その際には、キッズで担当していた歯科衛生士が患者さんの医療情報をまとめ、当院で担当する歯科衛生士に引継ぎ継ぐ体制が取れています。

転院することでさらに、長期的な管理が可能になります。
私たちは、ベイビー、キッズ、ティーン、ヤング、アダルトに至る成長過程で継続してメインテナンスしていく医療体制を整えつつ準備しています。

週に1度キッズデンタルパークで診療を行っているスタッフもおり、定期的に行われている双方の医療カンファレンスにも参加し情報共有、共に学ぶ機会もあります。

 

第27回EBM勉強会

第27回EBM勉会

 

2019年5月27日 グループB 篠原 増井 望月

「Trajectory of social inequalities in the treatment of dental caries among preschool children in Japan」

〈背景〉

 むし歯をはじめとする歯科疾患は、罹患する人がとても多い疾患であり、小児のむし歯の治療は、家族の支出、小児の学校の欠席また両親の職場への欠勤を増加させる。う蝕の社会的不平等のために、社会経済的地位が低い家族では小児う蝕治療の負担が増大している

しかし、この健康格差が子どもの成長に伴ってどのように推移していくかの報告は世界的にも少なく、特に未就学児における報告は存在しない。そこで本研究では、厚生労働省の実施した追跡調査のデータを用いて未就学児におけるう蝕治療の経験の推移を明らかにした

〈対象・方法〉

 厚生労働省が実施する「21世紀出世維持縦断調査」は、全国の2001年1月10日~17日と7月10日~17日の間に出生した子どもを追跡している、日本のこの世代の子どもの代表的なデータとなるコホート研究である。

 これを用いて35.260人の子どもたちの過去1年間のむし歯治療を受けた割合を2歳6ヶ月から5歳6ヶ月までの期間について分析した。両親の教育歴を格差の計算に用いた。

学歴は中卒・高卒を低い学歴、大学等以上を高い学歴と分類して格差勾配指数と格差相対指数を算出して格差を評価した。

〈結果〉

 過去1年間のむし歯治療を受けた割合は2歳6ヶ月の時点で10%未満だったが、5歳6ヶ月の時点で30%以上に増加した。親の教育歴が低い家庭の子どもではむし歯治療経験は8.5%から41.5%に増加。一方教育歴の高い家庭の子どもでは5.6%から31.5%の増加。家庭の教育歴により、むし歯の健康格差が拡大傾向にあり、格差勾配指数でみると2歳6ヶ月の時点で4.13だったのが5歳6ヶ月では15.50となり統計学的にも優位な格差拡大がっ認められた。

〈まとめ〉

今回、リテラシーについて調べることにより、どの様な患者に対してチェックする必要があるかを認識することができ、その子の本来のリスクをしっかり判定することができると思った。

また、小児患者のカリエスリスクに関しては、知識だけではなく保護者の健康管理も重要になってくるため、来院された患者に関しては、よりいっそう家族での歯科受診を勧めていきたいと思う

 

キャンブラ~新時代のむし歯予防、はじまる~ 

数年前から「キャンブラ」という、う蝕のリスク検査で、患者さんのむし歯のなりやすさを評価し予防をしています。
キャンブラとは、アメリカで生まれたむし歯予防管理方法です。最大の特徴はそのシンプルさ。
下記の専用の機械を使い、15秒で一部の検査結果がわかります。
これは、お口に潜む歯垢(プラーク)中のバクテリアの酸を発生させる時のATPの活動量を計測しています。

比較的、お口の健康意識の高い患者さんが
カリエスリスクマネジメントを受けておられます。

むし歯の原因はひとつではなくたくさんの原因がありますが、もっとシンプルに考えてみたいと思います。
天秤(はかり)をイメージしてみてください。
右側に“むし歯になる原因”を乗せてみます。例えばたくさんのみがき残しや間食が多いなどです。
左側に“むし歯を防ぐ行動”を乗せてみます。例えばフッ素の使用や唾液が多いなどです。
このはかりがどちらに傾くかで、その方のむし歯になりやすい危険度が評価できます。
危険度が高くても、その高さによって対策がありますので私たちにおまかせください。患者さん個人個人の生活に寄り添った形での健康管理提案を行いますので、むし歯になりにくいお口の未来を一緒につくっていくことが可能になります。
これから、このう蝕管理方法の有効な点を述べていきたいと思います。

 

CEREC 第1章【CEREC(セレック)治療について】

CEREC(セレック)は、医療先進国ドイツで開発された世界最先端歯科医療機器です。

CERECはコンピューター技術により専用口腔内カメラ(光学カメラ)にて口腔内を撮影し、撮影したデータは瞬時にパソコンの中に画像としてデータが取り込めます。

従来の保険治療と比較して、ねんど(印象材)の様な型取りは必要が無いため不快感が軽減されます。また、作業工程が煩雑かつ作製時間がかかる金属の詰め物と違って、瞬時に取り込まれた画像データは専用3Dソフトにて設計されたセラミックの詰め物は、一回の治療で口腔内に装着する事ができます。

《 CEREC(セレック)治療は、こん患者さんにお勧めをしています。

①虫歯になりにくい詰め物をしたい

②目立たない白い詰め物をしたい

③金属アレルギーのない安全な詰め物をしたい

④治療回数を減らしたい

★引き続きCEREC第4章までお読みください。

 

最新デジタル機器

今回は CAD/CAM をご紹介します。

模型や口腔内をスキャンしたデータで歯の設計をし、機械で削り出します。

その後 技工士、人の手によって調整や色付け等をし、患者様の口腔内へセットされます。

当医院では、歯科技工士が在籍しており 歯科医師と密に連携を取ることで良質な技工物を製作しています。

 

写真 設計の様子、切削の様子

 

設計の様子

 

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ミリングの様子

                                   技工部 渡邉

第18回 EBM勉強会「根面齲蝕の予防および進行抑制における効果的な処置方法について」

第18会 EBM勉強会「根面齲蝕の予防および進行抑制における効果的な処置方法について」

歯科衛生士の中田です。

根面齲蝕(こんめんうしょく)とは歯の付け根の部分(以下、根面とする)が虫歯になることです。虫歯になりやすい部分であり、予防方法として良い方法を検討するためにチームで文献を読みました。

読んだ文献

「Controlling caries in exposed root surfaces with silver diamine fluoride: A systematic review with meta-analysis.

フッ化ジアミン銀を用いて露出した根表面の齲蝕の抑制 メタアナリシスによるシステマティックレビュー」

Oliveira BH, et al. J Am Dent Assoc. 2018.

 

1)目的

成人の露出した根の表面における齲蝕の予防および阻止におけるフッ化ジアンミン銀(SDF)の効果を評価します。

 

2)方法

2人の査読者がそれぞれ、言語や出版日の制約のない8つの電子データベース、5つの進行中の試行記録、および参照リストを含めた、少なくとも12カ月間の追跡調査を行った対照臨床試験を独自に検索しました。

 

3)結果

著者らは2,356の特異的な記録を見つけ、研究者が無作為に895の高齢者を割り当てた3つの試験が含まれていました。すべての研究の研究者は、フッ化ジアンミン銀(SDF)とプラセボを比較しました。

1人の研究者は、38%SDFとクロルヘキシジンおよびフッ化ナトリウムバーニッシュを比較し、主要な効果測定値は、脱灰または充填された根面(DFRS)における加重平均差(WMD)およびSDFと対照群との間の齲蝕発生の平均差でした。

この研究では、ほとんどの領域でバイアスのリスクが低く、SDF適用はプラセボと比較して有意により良好な予防効果がありました。

健康な根面の齲蝕病変の予防において、クロルヘキシジンまたはフッ化ナトリウムバーニッシュと同じくらい効果的でした。

SDFはまた、プラセボより有意に高い齲蝕の進行抑制効果がありました。SDFによる齲蝕病変の黒色染色に関する不満は高齢者にはあまりありませんでした。

4)考察

高齢者の露出した根の表面への毎年の38%フッ化ジアンミン銀(SDF)の適用は、齲蝕の発生および進行を予防する簡易的で安価かつ効果的な方法でした。

 

今回の文献を読み進める中でフッ化ジアンミン銀はクロルヘキシジンまたはフッ化ナトリウムバーニッシュと比べて根面齲蝕の予防効果がより高いことがわかりました。

今回のEBM勉強会を通じて、根面齲蝕の予防方法を改めて検討する良い機会となりました。フッ化ジアンミン銀を使用するにあたり、黒く変色するという見た目の問題もあることから、患者さんのニーズに合わせて提案していけるよう、さらにその他の方法も検討しながら勉強を続けていきたいと思います。

 

第17回 EBM勉強会 「高濃度フッ化物使用後の口腔内フッ化物保持率について」

歯科衛生士の渥美です。

歯科医院でメンテナンスを受けると、最後にフッ素を塗られることがあるかと思います。

「フッ素を塗ったので、30分は飲食を控えてくださいね」と私たちは患者さんに伝えますが、

30分ではなく25分では効果がなくなってしまうのか?30分という根拠がどこにあるのだろうと疑問に思い、チームで文献を読み発表しました。

 

読んだ文献

「Fluoride Retentuion following the Professional Topical Application of 2% Neutral Soldium Fluoride Foam  2%中性フッ化ナトリウムフォームの専門的局所利用後のフッ化物保持」Int J dent2011; Jul7.

 

アブストラクト

目的

・専用トレーを用いて2%中性フッ化ナトリウム(NaF)フォームを使用して、専門的な局所適用を

するためのフッ化物の適切な量および口腔内のフッ化物の残留量を決定すること。

方法

・歯列調査モデルを用いて、NaF発泡体の適切な量を決定する。

・8人の成人被験者において、適切な量のNaF発泡体、専門的な局所適用後の唾液中の

フッ化物濃度、および専門的な局所適用後の口腔内の残留フッ化物の量を調べた。

 

結果

・適正量は、専用トレーを用いる場合トレー縁2mm下に充填することで全歯牙を覆うことが可能である。

・永久歯の場合、フッ化ナトリウムフォーム平均使用量は0.8g 同様にトレーを使用する場合のゲル量の1/5である。

・フッ化ナトリウムフォームを4分間使用した後の口腔内フッ化物残存率は使用されたフォーム量の25%である。

・唾液中フッ化物濃度は30分までの間に急激に低下。30分以降は徐々に低下する。

考察

・塗布後30分以内に唾液中フッ化物濃度は急激に低下しており、30分以降は徐々に低下し

ているため、30分以降であれば唾液中フッ化物濃度に大差はないと考える。

・ゲルと比較して修復物を傷めない、使用量が少ない=体内に取り込むフッ素量が少ないと

いう利点があるが、齲蝕予防という点でゲルと同様の効果をもたらすというEBMは未だない

た患者のカリエスリスクや修復物に応じて使用したほうがよいと考える。

今回の文献を読み進めるなかで、唾液中のフッ化物濃度は30分以内に急激に低下しており、

30分以降は徐々に低下していることから、30分以内に飲食をすると高濃度で作用しているフッ化物の効果が台無しになってしまうことがわかりました。

今回のEBM勉強会を通じて、フッ化物のフォームタイプとゲルタイプの違いを改めて理解する良い機会となりました。フォームとゲルでは使用方法や利点も異なるため、患者さんの虫歯リスクに応じて使い分けて提案していけるように、今後も勉強をしていきたいと思います。